2018.02.07
One's View コラム Web Designing 2018年2月号
【コラム】「イケメンお兄さん」と「プロジェクト設計」 今号のお題「UX」
さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。
こんにちは! 大阪のちょっとやんちゃな八尾という地域にある社員35名の老舗石鹸屋で商品企画・広報を担当してる峰松です!
ものづくりをしている方からすると、UXという言葉は自分たちの世界とは関係ない、インターネットの世界にあるものとお考えの人も多いかもしれません。
しかし、商品単体での差別化が難しくなってきているリアルなプロダクトこそ、「もの」ではなく「体験」をどうやって提供するべきかについて考えてみる必要があると思います。
最近私が体験した、リアルな場所で面白いなあと思った小さな顧客体験があります。割と家に近い範囲にコーヒーショップが複数店舗あり、それぞれ距離は同じくらい離れているので、どの店舗を使ってもいいのですが、自然と足が向いてしまう店舗がひとつあります。そこにはいつも羽生結弦選手似のイケメンお兄さんがいて、レジでは「今から心を込めておつくりしますね!」と注文を受け、バーでは「今日も美味しくできました(ニコ!)」と商品を手渡ししてくれるのです。
文字に書き起こすとなんだか道徳の教科書みたいで薄っぺらいのですが…(笑)。「素の笑顔で、しかも好きでやっています!」という気持ちがヒシヒシと伝わってきて、まあ悪い気はしません。こんなくさいセリフ(!)を満面の笑みで言って接客してるのは、そのお兄さんくらい。他の店員さんはいたって普通ではあるのですが、心なしか他の店舗よりも一つひとつの言葉遣いや気遣いが細やかで、何よりもみんな楽しそうに思えてしまいます。
何が言いたいかというと、わたしも普段から自社や他社のブランディングを行うプロセスで、大切にしていることがこの話にこそ通じるのです。それは、プロジェクトに携わっている本人たちが一番楽しくて、納得感があって、自信を持って「いいものだ」と言えるようにプロジェクト自体を設計すること。
ロジックや数字に関してはシビアにならないといけませんが、それと同じくらいこのポリシーを大切にしています。わたしの仕事はひとりで何一つ生み出すことができません。一緒につくってくれるクリエイターや仲間がどうしたらこのプロジェクトを他の仕事より楽しいと思ってくれるか、ということに人一倍気を使っています。実はこれ、めちゃくちゃ難易度が高くて、なかなか実現できないのです。けれども、うまくハマった時は、必ず良い商品になり、良い結果に繋がるんですよね~。