2017.09.18
One's View コラム Web Designing 2017年10月号
【コラム】アラサーのお金と経験と喜び 今号のお題「Webと決済」
さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。
こんにちは! 大阪のちょっとやんちゃな八尾という地域にある社員35名の老舗石鹸屋で商品企画・広報を担当している峰松です。
最近読んだ本の中でも断トツでオススメの『サピエンス全史』(河出書房新社刊)という本があるのですが、この本によると人類最大の発明は「妄想」で、その代表的なものとして貨幣や宗教が挙げられています。
Web決済についてそこまで理解が深い訳ではありませんが、中国の動向だけは気になっていてSNSに流れてくるツイートやポストを興味深く見ています。2016年のアリペイとWeChatPayの取引額は約320兆円にものぼり(※)、レストランではテーブルにQRコードが付いていてその場で支払いが完了。神社の賽銭箱にQRコードが付いていて、お賽銭を供えることができるというのですから、神様も時代の変化についていくのがさぞ大変なことでしょう(笑)。
そんなキャッシュレス大国の中国で、思わずあっぱれ! をあげたくなってしまったニュースをTwitterで見かけました。深夜、食品市場に侵入したドロボーが盗んだものは、なんと「QRコード」だったのです。店先にあった店舗固有のQRコードを誰にも気づかれずに自分のQRコードにすり替えて、お客さんが決済するたびに代金が自分に支払われるように仕向けたのだとか!
現金は盗まれるリスクがあるから、早くキャッシュレスになればいいのにと思っていましたが、まさかQRコードを盗むとは驚きです(笑)。それだけの悪知恵があれば、何か別のビジネスを真面目にやってもうまく行きそうな気がしてしまいます。
これだけインターネットが普及しお金の形も多様になっている中で、もはや現金の存在意義はあるのだろうか、とりあえず不便なのでなくなってくれないかしら、とさえ考えてしまいます。ただ一つだけ現金のよき思い出を挙げるとすれば、小学校に入りたての頃、毎月もらえる数百円のお小遣いを貯めて千円札に替えてもらった時の、「わ~! 私すごい大金を手にしてしまった~!」といった感覚。そして、そのお金を握りしめながら一輪車を買うかどうかひとりで悩んだことや、最終的に5千円と引き換えに自分の一番欲しかったものを手に入れた時の喜び…。それは現金ならではの経験で、デジタルの数字だけでは得られなかったなあと、このコラムを書きながら考えるアラサーなのでした。
※BETTER THAN CASH ALLIANCEによる2017年4月のレポート
「Social Networks,e-Commerce Platforms,and the Growth of DigitalPayment Ecosystems in China: What It Means for Other Countries」参照