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Bay Area Startup News Web Designing 2017年12月号

データビジュアリゼーション界のプラットフォーマー「Visual.ly」 データの見える化のその先へ

海外で起こっている、あるいは起こりつつある新しいビジネスの潮流、近い将来に日本にやってくるであろうビジネストレンドなどを紹介・考察します。米国サンフランシスコ在住の筆者が、サンフランシスコおよびシリコンバレーの「ベイエリア」を中心に、イケてるスタートアップを中心とした会社、サービスを毎月1つ取り上げながら、その背景や目的、今後日本で起こりうるトレンドについて追究します。

データが増え続ける世界

現在、世界に存在するデータの90%は過去2年間につくられたものだと言われています。ちなみに、20年前のインターネット上のトラフィックは1時間に100GBでした。これが25年前なら、同じ量のトラフィックに到達するのに1日はかかっていました。しかし、現在は1秒ごとに2,600GB以上のトラフィックが生まれています。このように、デジタルの世界では物事が加速度的に進化しています。

数年後には通信スピードがLTEより速い5Gが私たちの生活を取り巻くようになります。5Gは、4Gの100倍の速さで、1秒間に伝えることのできる容量は、なんと4Gの1,000倍もあります。この圧倒的な新規格の普及で、VRなどの多くのデータを必要とする技術、そしてその膨大なデータを活用する技術がさらに身近なものになるでしょう。

データはあるけど使えない?

データに関して言えば、「ビッグデータのビジネス利用」などをよく聞きますが、多くの企業にとってまだまだ難しい課題です。課題がなかなか解決しづらい原因は多々ありますが、例えばTwitterのつぶやきやYouTube動画といった分析すべきデータがますます多様化してきていることもそのひとつと言えます。

蓄積されるデータは増えていくばかりなのに、その一方でほとんどが直接ビジネスに使えるものではありません。その中でも企業はどうにかマーケティングに活かそうとさまざまなデータを集めていますが、データベースに溜まっていくデータ一つひとつは、そのままではビジネスに活用をするのは難しいものです。あたりまえのことですが、データは人が理解できる形で使われて、初めて有益な情報になります。

データを集めて分析する。さらに、それを説得力のあるものにするには、ただ単にファクトを伝えるだけでは足りません。視覚的にわかりやすく表現することが大事です。そこで、データビジュアリゼーションを提供するサービスが注目を集めています。

求められ始めている「見える化」

そのような状況の中で、データの見える化、いわゆるデータビジュアリゼーションの必要性がとても高まっています。今回お話を聞いたのは、btraxのサンフランシスコオフィスの隣のビルに入っている「Visual.ly」社のCEO、ステュー・ランガイル(Stew Langille)さん。彼らのビジョンは、さまざまなデータに対してその利用用途に応じた異なるビジュアル表現です。データを保有する企業と、それをビジュアル化するテクノロジーやサービスをつなげることで、多種多様なインフォグラフィックを提供するプラットフォームを展開しています。

Visually
2011年にスタートしたインフォグラフィック・データ可視化コミュニティプラットフォーム。投稿によるインフォグラフィックの紹介だけでなく、デザイナーや研究家のコミュニティがつくられています
ステュー・ランガイル氏 Stew Langille
Visual.ly社 CEO

 

もし~だったら

Visual.ly社は昨年にScribbleLive社というベンチャー企業に買収されたことで、実質エクジットを果たしましたが、「Visually」というプロダクトとしてサービスは今も存続されています。セールスフォースやオラクルなども利用しています。

Visual.ly社のおもしろいところは、単に誰でも簡単にクリエイティブなコンテンツを作成できる「ツール」を提供するのではなく、誰もがアイデアを説得力のあるコンテンツにできる「仕組み」を作った点です。彼らのサービスは大きく分けて2つのコンポーネントで成り立っています。1つはデータビジュアリゼーションのプラットフォームの提供。まずは、自分がビジュアライズしたいコンテンツに対しカテゴリーや目的を入力していくことで、プロジェクトを作成することができます。

そして、2つ目のコンポーネントが、Visual.ly社があなたのプロジェクトの実現に必要な人材を見つけてくれるというもの。具体的には、自分のつくりたいコンテンツにあわせて、エンジニアやジャーナリスト、デザイナーなどのプロフェッショナルたちとマッチングしてくれるのです。

日々のビジネスシーンの中で、「時間もお金もないけど、もし自分のためにこのデータをわかりやすく表現してくれるクリエイティブな人材がいたらな」って思ったことないですか? Visual.ly社は、この「もし~だったら」の部分を解決するプラットフォームとしてのサービスを提供しています。

彼らはデータビジュアリゼーションに対し、「視覚的にわかりやすく表現する」以上のものを見据えています。「視覚化というのは、調査の結果をアウトプットしたものであって、もしそこに価値のあるデータを見つければ、さらに深堀りしていくことができる」

つまりデータビジュアリゼーションは分析にも使えると語っています。データの中に埋もれている価値ある情報を見つけ出すために、今後もデータビジュアリゼーションの重要性は高まっていくでしょう。

サンフランシスコにあるVisual.ly社内の黒板には、ビジュアライズプラットフォームらしくさまざまなイラストが描かれています
Visuallyには、全世界からインフォグラフィック作品が投稿されています。それらはクリエイティブ・コモンズのライセンスが提供されています
「オフィスでの無駄」をテーマにしたインフォグラフィック。「オフィスで行われたすべての作業の90%が無駄です」というメッセージを海に浮かぶ氷山で表しています

 

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Text:ブランドン・片山・ヒル
米国サンフランシスコに本社のある日・米市場向けブランディング/マーケティング会社Btrax社CEO。主要クライアントは、カルビー、TOTO、JETRO、伊藤忠商事、Expedia、TripAdvisor等。2010年よりほぼ毎週日本から米国進出を希望する企業からの相談を受け、地元投資関係者やメディアとのやりとりも頻繁。 http://btrax.com/jp/

掲載号

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