2017.08.22
ビットコインっていったい何だ? Webビジネスを大きく変える!?
最近話題になることが多いビットコイン。Webビジネスの今後を大きく変える可能性を持っていると言われるが、そもそもどんなものなのか、よくわからないという人も少なくないのではないだろうか。 そこで、ここではビットコインの最新事情に詳しい大石哲之さんに、その基礎と、これからの可能性について解説をしてもらおう。
“ビットコインは怪しい” そんなイメージの向こう側で 起きていることを見逃すな
2017年の夏、仮想通貨「ビットコイン」が新聞やテレビ、そしてネット上で大きな話題 を呼んだことをご存じの方も多いだろう。その原因となったのは「分裂」騒ぎだ。結果として深刻なトラブルは起きなかったのだが、これによって「仮想通貨というのはやっぱり怪しいな」と感じた人も少なくなかったようだ。
しかし、そんな騒ぎの一方で、ビットコインを所有する人も、それを使える店舗の数も急激に増えていてる。ビットコイン所有者はすでに十万人単位で存在しており、店舗もすでに1万店に迫る勢いだという。
ビットコインなどの仮想通貨は、未来に向けた大きな可能性を秘めている。たとえば国をまたいだ越境取引に高速送金、さらには1円単位の超少額決済といったこれまでの仕組みではなかなか難しかった機能を実用化するだけでなく、証券に変わる新しい資金調達手段の実現や、IoT技術の実用化などにも深く関わることが予測されている。 インターネットが普及して、それまでなかった新しいビジネスが立ち上がったように、仮想通貨もビジネスのあり方そのものを変えてしまうかもしれないのだ。
そんなポテンシャルを持ったビットコインを、まずは決済システムという形で、ビジネスに組み込んでみてはいかがだろうか。そこには「使ってこそわかる」気付きがあるはずだ。
ここからはビットコインがそもそもどんなものなのか、そして今すぐ利用できるビットコイン決済とはどういうものか、わかりやすく紹介していきたい。「あー、あの怪しいヤツね」などといった固定観念に縛られることなく、まずは触れてみてほしい。
Q1 そもそもビットコインってなんですか?
A/どこかの国や銀行、企業といった発行主体のない、世界で初めてのインターネット上のデジタル通貨です。“発行主体がない”というのは、円やドルといった既存の通貨のように、特定の国による信用の上に成り立っている存在ではない、ということを表しています。これはインターネットが、どこかの国や企業が運営しているものではない、というのと似たようなものだと捉えるとわかりやすいでしょう。
仮想通貨はもともとインターネット環境での使用を想定してつくられたものだけあって、スマホ一つあれば誰でも利用できますし、ネット環境を利用して素早く、そしてかんたんにお金のやりとりをすることができます。これまではいろいろとめんどうだった国境を越えた送金も容易に行うことができます。
なお、ビットコインはインターネット上にある「取引所」で円と交換(購入)することができます。日本では「コインチェック」や「ビットフライヤー」などの取引所が運営されています。
Q2 ビットコインは信用できるの?
A/ドルも円も、通貨は信用の上に成り立つものです。では、仮想通貨の信用を保証するものは何でしょうか。そこには大きく2つのポイントがあります。1つは入手するためにズルができないという点です。ビットコインはブロックチェーンという高度な暗号技術を使っていて、偽造や複製、ハックといった行為によって不正に入手することができないようになっていますが、そのセキュリティを担保しているのは「マイニング」という作業です。マイニングとはコンピュータを使って、新しいビットコインを承認する作業のことです。これによって今だと1日に約5億円のビットコインが利用できるようになっているのですが、その際にはそれと同じだけの電気代が費やされる仕組みになっています。つまり、5億円のビットコインは5億円の電気代を使って生み出されているのです。
この仕組みは、「金(ゴールド)」をもとにして考えられたと言われています。金は他の物質から作り出すことができませんから、手に入れるためには掘る、すなわち労働力を費やすしかありません。ビットコインではこの労働力にあたるのが電気代だというわけなんです。
ビットコインの信頼を担保するもう一つのポイントは「発行枚数に上限がある」ことです。ビットコインの総発行枚数は2,100万枚と厳密に決められています。誰かにとって都合のいいように大量に発行されることがない。そのこともまたビットコイン信用のもとになっていると言えると思います。
Q3 ビットコインは現在どれくらい使われているの?
A/正式な数字がないので答えにくいのですが、取引所経由でビットコインを持っている人の数は、国内ですでに数十万人以上、世界的には数千万人いると言われています。また、ビットコイン決済ができる店やサービスも今年に入って大きく増えています。そう考えると、ビットコインをめぐる現状は、すでに初期の段階を超え、普及が始まる段階にあると考えられるでしょう。こうした今の状況をインターネットの普及に例えて、「ホームページ」や「メール」が一般の人たちの間でも話題になりはじめた1997~8年頃の状況に近いと言う人もいます。今はまだ、どうやって入手できるのか、どう使えばいいのかといった情報が浸透しているわけではありませんが、そういった疑問が解消されていけば、より多くの人に使われるようになるのは間違いのないところだと思います。
その点で言うと、東京にさまざまな国から観光客が訪れるであろう2020年が一つの契機になると予想されます。通貨の違いを気にすることなく、スマホやタブレットさえあれば利用できる簡易なキャッシュレス支払い手段の一つとして、自然と使われるようになるのではないでしょうか。