2017.08.30
決済導入でマーケティング力をアップする 商材と電子決済の相性がカギ!
さまざまな電子決済方法がある今、“売り上げアップ”につながる電子決済は何なのだろうか? 電子決済導入のメリットと選び方を伺った。
電子決済で業務効率化とカゴ落ち防止
電子決済の導入には、他ページのようにさまざまなメリットがある。では実際に導入することで、売り上げやマーケティングに、どのようなメリットが期待できるのか、ここではその側面を見てみよう。
決済代行サービスを提供するソフトバンク・ペイメント・サービス(株)の長田直樹さんは、電子決済を導入するメリットを次のように挙げる。
「電子決済を導入するビジネスには、大きく2種類あります。1つは、飲食店など、リアルな店舗を運営する企業。もう1つは、ECやWebサービスを提供するオンラインのビジネス。リアル店舗における導入メリットは現金の受け渡しを減らすことで、業務効率が上がり、売り上げと現金があわないといったミスを減らすことができます。一方、ECでは、ユーザーが利用する決済手段の幅を増やすことで、カゴ落ちを減らすことにつながります」
ただし、電子決済を導入する上で知っておきたいのは、広く普及しているSuicaやEdyなどの電子マネー決済や、最近、注目を集めているキャリア決済を導入しても、ユーザーの個人情報は得られないということ。電子決済はあくまでお金のやりとりをするだけであって、利用者の名前や年齢や住所、性別などの個人情報を導入企業が得ることはできない。そうした個人情報は、各店舗が独自に会員登録や配送に必要な情報として、ユーザーに登録してもらう必要がある。なかには「キャリア決済」や「ウォレット決済」「Amazon Pay」のようにユーザーのメールアドレスや住所など一部の情報が連携できる場合もあるが、まだ一部の決済手段に限られている。
導入に際しては、各電子決済提供会社の審査があるが、ここで重視されるのは、取り扱い商品やサービスの内容。企業の規模や売上金額などはあまり関係がないという。そのため、小規模の事業者でも、電子決済を導入することは可能だ。電子決済導入には、クレジットカード決済を基本として、他にどの決済方法を採用するかが重要と覚えておこう。
マーケティング重視ならインハウス型
マーケティングとしての活用を重視して電子決済を導入するなら、広く使われている電子決済ではなく、インハウス型(独自型)と呼ばれる電子決済を検討する方法もある。インハウス型とは、自社ブランドやグループ店のみで利用できる電子マネーのことで、大手コーヒーチェーンなどで導入されているのが有名だろう。独自カードごとに入金や決済の必要があるため、さまざまな店を利用するユーザーにとっては利便性が高いとは言えないが、ブランド力やリピート率の高い店舗であれば、ユーザーとのエンゲージメントを高める手段として有効だろう。
「インハウス型のメリットは、ユーザーの囲い込みが期待できることと、登録やチャージの際に、個人情報を入力してもらうことができるので、その後のキャンペーンなどに活用しやすいことがあげられます。ただ、広く利用されている電子決済とは異なり、導入費用が高くなりますし、Tポイントのように『あのポイントがたまっているから、この店で利用しよう』といった外部からの流入は期待できなくなります」(長田さん)
また、他の電子マネーと異なり、独自型電子決済の場合、利用やチャージに際して、インセンティブをつけやすいこともメリットだ。