2017.08.24
決済の改善が売上拡大に直結する 自社にとっての「最適化」を考えよう
自社店舗の決済環境は、お客様にとって適切なものになっているだろうか。Webマーケティング支援を行うソウルドアウトの浅見 剛氏、コンビニ後払い決済「NP後払い」を提供するネットプロテクションズの秋山 瞬氏に現場の課題と対策を聞いた。
希望する決済方法がないと離脱の原因に
ネットショッピングなどで使われる決済方法といえば、現在もクレジットカード・代引き・振り込みが大きな柱になっている。一方で、コンビニ後払い、キャリア決済、Amazonペイメントなどさまざまな形で多様化が進んでいることも確かだが、実際に利用されている決済方法としてはクレジットカードが7割近く、それ以外は数%ずつに留まる。
しかし、従来どおりの決済方法を提供しているだけでは、売り上げの機会を逃している可能性があるという。例えば健康食品では代引きが、化粧品やアパレルではコンビニ払いが多いなど、商材にひもづく購入者の属性によって、決済に求められるニーズは異なっている。
「お客様はそれぞれ慣れ親しんだ方法を希望される傾向があります。アンケートによると、その決済方法が使えない場合は離脱してしまうという回答が4分の3にも上ります。いつも代引きを使っている人なら、代引きが使えない店舗ではカードや振り込みを使うのではなく、購入をあきらめたり、他の店舗に移動してしまうのです」(秋山 瞬氏)
決済の選択肢は、いわゆるカゴ落ちの大きな原因となっているのだ。しかし、店舗の方ではそこまで気が回っていないケースも少なくないという。
「店舗の方では、利用しているシステムに付随する決済方法から選択して導入されることが多いと思います。しかし一部には、その中からクレジットカードと代引きしか導入していないといったケースも見受けられます。そうした場合、代替になる店舗があればそちらに移ってしまうお客様がいる可能性がありますよ、とお伝えしています」(浅見 剛氏)
決済方法の見直しは売り上げ拡大の第一歩
ECで売り上げを伸ばすには複数のフェーズの取り組みがある。例えばWebサイトの作りの見直しやランディングページの改善、CRM活動、さらに広告・マーケティング施策などに日々取り組んでいる事業者も多いだろう。しかし、売り上げを考えるなら決済環境はそれらに優先して見直すべきポイントなのだ。
「カートシステムが適切なのか、決済方法が整っているのか、この2点が店舗の決済環境の基盤です。時間的なフェーズでいうと、ここが最初に取り組むべきところですね。売り上げを伸ばしたいという意識が強いと広告やマーケティングの方に注目しがちですが、お金をいただくECにとって基盤となる部分を多様化することで、一人でも多くのお客様のニーズを満たすことが、売り上げアップの第一歩になると思います」(浅見氏)
「訪問者のうちカートに商品を入れた人が10%、実際に購入した人がそのうちの2割だとすると、CVRは2%です。しかし、もし希望する決済方法がないために離脱してしまった人が全体の0.1%いた場合、それを決済方法の見直しによって取り込むことができれば、売り上げとしては5%アップすることになります」(秋山氏)
訪問者の離脱はどの段階でも起こり得る。しかし決済段階での離脱は、商品に興味を持たなかったうちの0.1%ではなく、実際に購入する段階まで進んでいたうちの0.1%。コンバージョンに至ったはずの人たちだ。広告でいくら導入を増やしても、基盤が整っていなくては得られるはずの成果を失ってしまうことになる。最後の段階でカゴ落ちさせない決済環境を整えておくことが重要だ。