2017.08.28
Webマネタイズと決済 基本と先端 決済の進化がマネタイズを変える!
ここでは、Webビジネスにおける決済のあり方を主眼に、企業規模による決済システム導入の傾向、導入に際する注意点、そして電子決済の導入における大きなメリットの一つ「海外との取引」の大きく3つのトピックで現在の決済界隈の実際を見てみよう。
ECが進展するほど決済が重要になる
決済や契約は最古の成文法であるハンムラビ法典条文の三分の一を占め、「銀行」の言葉は聖書にもある。AmericanExpressは南北戦争時代の運輸業から「為替」を発明し決済・金融企業となった。最近は通信キャリアがFinTechで決済ビジネスに進出している。つまり、金融決済は最新のテクノロジーが支える最古のビジネスモデルなのだ。
ネット社会、特にEC(electronic commerce:電子商取引)が進化するほどフルフィルメント(Fulfillment=受注と在庫管理から物流、そして決済)はWebビジネスの中で最も重要なコアプロセスとなってくる。昨今のAmazonの物流問題を見てみると、Amazonの優れたフルフィルメントの一端はヤマト運輸がシステムで支えてきたことが判るだろう。
同様に、Webビジネスにとって「決済」は重要なサービスであり、これからの越境ECにとっても欠かせない機能だ。
ところが、日本の決済はガラパゴスといわれている。その理由は、世界一といわれる現金依存度の高さだ。
国際決済銀行(BIS)統計を基に日銀が作成したレポートでは、わが国GDP(国内総生産)に対する現金の名目比率は19.4%にも達する。この数値は世界の主要国・地域の中でトップ。キャッシュレスが進むスウェーデン(1.7%)の約11倍に達し、英国の5.2倍、ユーロ圏の倍、米国に比べても約2.5倍だ。
つまり、日本はECには欠かせないキャッシュレス=電子決済の後進国であることが判る。首都圏で生活していると、家を出てから帰宅するまで財布を開かずにキャッシュレス生活を享受できるが、これは首都圏だけで日本全体はまだ現金社会なのである。
ECとWebマネタイズだがFinTechなど新しいテクノロジーが世界の電子決済を進化させている。本稿では、電子決済、Webマネーの一連の動きや背景、電子決済のメリット、と導入の準備や留意点などを解説したい。
Webマネタイズと決済
先述のとおり、日本の決済事情は未だ現金社会にも関わらず、実は数多くの電子決済サービスが提供されている。
それらを現在の企業ではどのように取り入れているのだろうか。
そこには企業規模に応じた展開の仕方がある。
大手企業は多様な決済方法を揃える
Webビジネスには、物販や役務提供がありそれぞれ非対面取引だけと対面取引を含む場合があり、多くの支払方法を用意すればするほど顧客の選択肢は増加するので、年商10億円を超えるような大手企業では、個別に決済事業者と交渉してWeb決済サイトを自社構築している。
年商が10億円未満企業の自社構築では自社内にサーバを置き、パッケージソフトやASPを利用することが多い。この場合、導入には数カ月必要だ。
中堅規模EC決済はモバイルシフト
年商1,000万円から数億円程度の中堅規模の企業ではGMOペイメントゲートウェイ(株)などの決済代行会社を利用することが多い。決済代行会社では、銀行振込に始まり、コンビニ決済、Pay-easy、携帯電話キャリア決済、各種電子マネーや国際決済ブランドや国内クレジットカード会社、運輸業の代引き決済から仮想通貨、ポイント支払も含めると数十種を越える決済が提供される。しかも、定額課金や従量課金も可能でWeb上の決済サイト構築の手間もかからず導入は容易だ。サーバなど決済設備はクラウドで提供され、Webのデザインやカスタマイズには制限があるが数日で構築が可能だ。
決済代行会社も多くそれぞれ特長があるのだが、これからはモバイルサイトでの決済機能を重視することが重要だ。なぜならFinTechでは「モバイルファースト」が進展し、ECは急速にPCからモバイルに移行しているからだ。