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特別企画 [PR] Web Designing 2017年6月号

企業の将来をも左右する“ネット情報の信頼性”を担保するには ローソン × パナソニック

インターネットにより、情報伝達スピードも情報量も激増し続けている昨今。情報の信頼性を担保することの重要性もますます高まってきている。不用意な発言や情報配信により、万が一でも顧客からの信頼を失ってしまうと、企業の将来を左右することになりかねない。そんな現状において、企業は情報発信に対しどう考えるべきだろうか。Webマーケティングとサポートサイト運営、主目的は違えどネットを駆使した施策を展開しているお二人に、それぞれの立場から語ってもらった。
Photo:五味茂雄(STRO!ROBO)

東京・有明にあるパナソニック(株)のコーポレートショールーム「パナソニックセンター東京」にて
http://www.panasonic.com/jp/corporate/center.html

二重三重のチェックで万全を期する

─ 指田さんはパナソニックで主に個人のお客様向けのサポートサイトの運用をされており、一方、白井さんはローソンでデジタルマーケティングを担当されています。それぞれ取り扱う情報の種類は少し異なりますが、発信する情報はどのようなフローで作成しているのでしょうか?

指田宗昭(以下、指田) サポートサイトの中でも最も象徴的なものは、製品のFAQページの作成・運用です。FAQには製品の使い方などの詳しい情報を掲載する必要がありますので、大元となる情報は各製品の担当部署がつくります。その一次情報に対してお客様相談センターがチェックをします。正確な情報であっても、それがお客様に伝わらないと意味がありませんから、そのために日頃からお客様とやりとりをしているお客様相談センターのチェックを通しています(01)。

01 パナソニック サポートページ
パナソニックのコーポレートサイト内のサポートぺージ。各製品担当部署から上がってくる一次情報はすべてお客様相談センターの目を通すことで初めて世に公開される
 

白井明子(以下、白井) ナショナルブランドとローソンのプライベートブランドで一次情報の作り手は違います。ナショナルブランドの場合は製造元のメーカーから情報を提供いただきますし、プライベートブランドの場合はローソン社内で一次情報をつくります。いずれも品質管理の担当部署でチェックをした上で、サイトやSNSから情報を発信していくことになっています(02)。ですから、SNSなどでタイムリーに発信しているように見える情報でも、すべて前もって準備をした上で計画的に発信するような体制が組まれています。

─ 両社ともに二重三重のチェックを行い、万全の体制で情報を発信されているのですね。

ローソンFacebookぺージ(上)
ローソン(下)
02 白井氏はローソンが日々実施するコラボやキャンペーン企画、プライベートブランドの新商品などの告知といった施策を担当。SNSといったコミュニケーションツールを駆使して行っているが、それらの情報は決して担当個人の判断で行われるものではない
 

 

伝えにくい情報も伝えることが信頼醸成につながる

─ ローソンの場合は食品も多く扱っています。食品は特に情報の正確性が求められるものと思いますが、その正確性の担保にどのようなことをされているのでしょうか。

白井 原産地や表示情報に抜け漏れや誤りがないかは非常に厳格に見ていますし、問い合わせがあったときにはきちんとエビデンスを示すことも徹底しています。特にアレルギー表示に抜け漏れがあるとお客様にとって重大な問題になりかねませんから。

─ 最近は健康志向が高まっていますから、消費者としても気になるところなのでしょうね。

白井 ええ。ですから、糖質やカロリー表示(04)にも気を使っていて、ナショナルブランドでもプライベートブランドでも健康系商品の情報をサイトやSNSで発信するときには必ず関連法律に則ってチェックするようにしています。

04 ローソンのWebサイトには、オリジナル商品のアレルギーやカロリーなどの情報が掲載されている。お客様からの問い合わせに対応するためのエビデンスを示す目的がある
http://www.lawson.co.jp/recommend/allergy/detail/

パナソニックさんも美容系・健康系の製品を扱われていますが、そうした製品の情報はどのようにされているのですか?

指田 美容系・健康系の製品に関しては効果効能を正確に伝えなければなりませんので、我々も非常に厳格に見ています。その辺りは各製品の製造部署やプロモーション担当者が中心となって正しく伝えることを心がけています。私たちが意識しているのは、答えにくいことであってもしっかりと答えようということです。例えば「洗濯機の購入を検討しているけど、ドラム型と縦型、どちらの方がいいですか?」と聞かれたとします。そういったご要望にお応えするため、お客様のライフスタイルに適した洗濯機をおすすめできるような情報を整備し、電話だけでなくWebでも公開しています。こちらの都合だけで情報を発信するのではなく、正しい情報を正しく伝えることが、信頼につながっていくと思っています(03)。

03 パナソニックの洗濯機比較ぺージ。まずはドラム式とタテ式のタイプの違いから、用途にあった商品を選べるように工夫している。これもお客様の目線に立った上での施策と言える http://panasonic.jp/wash/select/

 

正確な情報を届けるためには検索対策も必須

─ 今、インターネット上には数多の情報が溢れていて、消費者はその中から自分の求める情報を探し出さなくてはなりません。企業は正確な情報をつくるだけではなく、それがしっかりと消費者に届くことを意識するというのも、信頼性担保のためには重要ではないでしょうか。

指田 おっしゃる通りだと思います。今は検索率が高まっている時代ですし、実際、パナソニックのサポートサイトの閲覧者も約6割が検索流入です。そうしたお客様のために、検索サイトの上位にパナソニックのサポートサイトが表示されるようにしなくてはなりません。そこで我々が力を注いでいるのはSEO対策です。例えば、お客様相談センターに、お客様がどのようなお困りの時に、どのような表現で電話されているかを分析しお客様の言葉で検索でき、ヒットするよう対応しています。

SEO対策の効果を見る1つの指標として、Yahoo!知恵袋の上位に来るかどうかということを見ています。Yahoo!さんに「このキーワードでウチの記事が負けましたか」と言われた時は嬉しかったですね(05)。

05 Yahoo!知恵袋で「テレビ」というキーワードで検索すると、トップにパナソニックの情報が現れる。その他の取り扱い商品でも、上位に表示されるようSEO施策に余念はない

白井 今のお話と少し似ているかもしれませんが、ローソンの場合、一般の方のブログよりも上にローソン公式サイトが表示されることを指標にしています。というのも、ローソンに関するキーワードで検索をしたとき、以前は公式サイトよりも一般の方のブログが上位に表示されることが多かったんです。

それだけインフルエンサーがいてくれるということでもありますが、やはり公式サイトが最上位に来た方がより正確な情報を伝えられます。そのためにローソンでは「ローソン研究所」というオウンドメディアをつくりました(06)。そこでさまざまな記事を発信していくことで、今ではローソン関連キーワードで検索すると公式サイトの情報が上位に表示されるようになってきました。

06 ローソンのオウンドメディア「ローソン研究所」で情報を発信することでSEOを施し、同社関連の検索キーワードならまず同社のサイトに流入できるようにしている ローソン研究所

 

今後の注目キーワードは「動画」と「スマホファースト」

─ これから先、企業が情報を扱う上で「信頼性」というキーワードはますます重要度が高まってくると思います。信頼性向上のために、今後さらに重要となるテーマはどんなものでしょうか?

指田 すでに取り組んでいることではありますが、ひとつは動画です。文字だけだと誤解を生む可能性がありますが、動画ならば音声も入りますから、より正確に情報を伝えるためには効果的ですよね。

白井 ローソンでも動画コンテンツは扱っていますが、例えばアルバイトの方向けのオペレーション動画など、社内的にも有効だと思っています。今、アルバイトの外国人比率がどんどんと増えていますので、昔のように紙のマニュアルでは理解が行き届きません。そこで、英語の字幕付きの動画でオペレーション方法を説明することで、正確な理解を促すことができるんです(08)。

08 ローソンでは主にFacebookやYouTubeにおいてお客様向けの動画を発信している。例えばLINE Payの使い方といったものから、ローソン取り扱い商品を紹介する「こみラボ こンだけ.TV」といったショート番組などを公開している
 

指田 もうひとつはスマホファーストでWebを考えることですね。パナソニックの製品、例えば洗濯機について何か悩みがあったとき、わざわざ洗濯機の前にパソコンを持って行って調べませんよね。多くの方がスマホで検索をするんです。実際、サポートサイトのアクセスは6割ほどがスマホですから、今ではスマホで見やすいか、わかりやすいかということがすべての始点になっています(07)。

07 パナソニックのサポートぺージは、「スマホで閲覧するユーザー」を中心としたサイト設計を行っている。質問内容をユーザーの症状にあわせた選択肢を選ばせることで余計な情報閲覧やスクロールを省き、さらに詳細の診断に自然な流れで誘導している
 

 

─ 正しい情報がしっかりと伝わるようにするためには、コンテンツの設計を時代に合うようにアプローチしていく必要があるのですね。本日はありがとうございました。

左)指田宗昭 パナソニック(株) アプライアンス社 日本地域コンシューマーマーケティング部門CSジャパン本部 企画部 顧客接点推進担当部長
(右)白井明子 (株)ローソン マーケティング本部 デジタルプラットフォーム部 シニアマネジャー

企画協力:一般社団法人テクニカルコミュニケーター協会

掲載号

Web Designing 2017年6月号

Web Designing 2017年6月号

2017年4月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

サンプルデータはこちらから

企業のIT推進担当者やネット運営者に向け、ネットビジネスの課題を解決するノウハウや最新情報をお届け。徹底した現場目線とプロへの取材&事例取材で、デジタルマーケティング施策に取り組む上での悩みや疑問、課題を解決するヒントを紹介します。

6月号のテーマは「AI」です。「え!?」と思った人、ぜひ本書ですでに直面している現実をご覧ください。

現在、ビジネスのキーワードとして飛び交っている「AI(人工知能)」。人間の脳の代わりとなり、さまざまな仕事をAIが賄ってくれる未来像がネット上でも飛び交っています。「人間の仕事を奪うのではないか」「人間を支配するのではないか」そういって煽るメディアも多々ありますが、果たして現在のAIとは、本当にそんなSFのような話なのでしょうか?
答えは「今はNO」です。
むしろ、AIはインターネット、そしてSNSといったものと同じ、現在のマーケティングを加速させる「新しいマーケティングツール」なのです。

一方、AIの導入は巨額の開発費を投資できる大手企業の話であり、自分たちのような中小規模の企業には関係ないと思っていませんか?
答えは「NO」です。
むしろ、時代の流れに少なからず影響を受ける中小企業こそ、大手との仕事のため、企業成長のため、正しい理解と認識が必要です。

AIは今すぐに、多額の投資をしなくとも活用できる状況がすでに作られています。
人工知能によってマーケティングにおけるあらゆるコミュニケーションが変わっていく可能性があり、そんな時代はもうすぐそこまで来ています。仕事の効率化、人件費削減など中小企業が抱える長年の課題に対する解決の道筋をつけてくれる可能性が大いに有り得ます。
御社の競合がAIを使った施策を行っている、そう聞いてからでは遅いのです。
本特集では、今、現場で活用できるAI技術を使ったWebマーケティングの方法と、それによるリソース面、予算面のメリットまで追求します。

第1部 【中小企業Web担こそ!】いますぐAIを検討すべき理由
●いますぐ使えるAIの基礎理解
●図解・AIがマーケティングで注目される理由
●AIの仕組み~要するに、何をしてるの?~
●AIをビジネスツールとして活かすには

第2部 AIを現場の即戦力にするメリット
●AI搭載型botでオペレーションコスト低減へ!スモールスタート可能なチャットボット活用法
●AIの機能は「分析」ではなく「分類」だ!AIの導き出す「答えの見方」
●実録・AIでFAQを作る
●こんな身近にある!AIツール

など