2017.02.18
特別企画 [PR] Web Designing 2017年4月号
人生を変えた、二つの“半年” わたしたちのターニングポイント
「このままだと壊れちゃう、と辞める決心をしたんです」。高月憂美さんはそんな一言で、初めての社会人生活を振り返った。いまから5年前、エンターテインメント業界を目指して飛び込んだ芸能マネージャーの世界は、想像していたのとは違う体力仕事。その半年で感じ取ったものは、彼女が現在のWebデザイナーの道へと進むきっかけとなった。
Photo 五味茂雄(STRO!ROBO)
自分の“一芸”を身につける
高月憂美さんは、大学卒業前から芸能事務所に就職し、マネージャーとして働き始めていた。そのきっかけは、学生団体「Charmy&Baby」に参加し、イベント運営などの活動をしてきた経験から「エンターテインメント業界に進みたい」と思ったことだった。
「私が担当したのは、デビュー間もないアイドルグループで、雑用的な仕事がほとんど。あまりにも忙しく、半年頑張ったのですが、もう無理だと諦めたんです」
そんな苦しい経験を、高月さんが屈託のない笑顔で振り返るのは、そこで現在に繋がる「気づき」を得たからだ。
「当時の私には、若さしか勝負できるものがなかった。漠然と『何かをつくり出す仕事』をしたいと思っていたので、武器となる“一芸”が必要だと考えました」
では、何を“一芸”とすべきか。高月さんの頭に浮かんだのは「Web制作」だった。内側から見たエンターテインメント業界は、Webの活用が進んでいないと感じたからだ。
「学生団体の活動を通して、ライブの告知などにWebサイトやSNSが有効だったという実感がありました。まだ比較的新しい業界であるし、Web制作のスキルを身につければ、企画などつくり出す仕事に早く近づけるのではないかという思いもありました」
そう決めてからの高月さんの行動は素速かった。さまざまなスクールの資料を取り寄せ、体験入学へも行った。
本当に必要なもの
高月さんの学校の選び方は、とてもユニークだった。
「Flashを教える授業があるかを聞いて判断しました」
高月さんが学校選びをしていた2012年当時、スマホの浸透によってFlashは主流から外れつつある技術だった。
「変化の激しい業界でありながら、古い技術を慣習になっているから学ぶという学校が多いなか、東京デザインプレックス研究所の先生だけが『これから学ぶ人が、Flashをやる必要はありません!』と言い切ってくれたのです。それを聞いて、ここで学ぼうと決めました」
そんな先生のいるスクールゆえに、日々の授業も刺激的だった。
「最初は『ツールの使い方を覚えられるかな』くらいに思っていたのですが、力を入れるよう求められたのは、ツールを使う前の情報の整理法や優先順位の付け方であり、その情報をデザインに落とし込む技術であり、さらにはクライアントに理解してもらうためのプレゼン術など、プロのノウハウだったんです」
「ついていくのが大変だった」と振り返る高月さんだが、半年のコースを修了する頃には、技術だけでなく自信も身につけていた。そうして選んだ就職先は、コンサートの企画・運営やチケットの販売を行うディスクガレージ。現在は、ライブイベントの情報ページやティザーサイトの制作を担っている。
「大きなWeb制作会社は分業が多いと聞きますが、ここではサイトの立ち上げから運用まですべてを担当できるところが良いなと思い、就職を決めました。3年経って、私らしい仕事もできるようになってきたかな…。当時授業で習ったことで、いまになって重要性に気がつくことも多く、授業のノートは手放せません。やっぱり、濃厚な半年だったなぁ」
芸能マネージャーとしての「半年」と、学びのための「半年」。強いコントラストを描く二つの年月が、彼女のいまを支えている。
企画協力:東京デザインプレックス研究所