2017.01.23
はちえん先生直伝! 動画マーケティング成功術 自前で取り組む
「動画なんて無理」、そう思っている、特に中小企業や街のショップの皆さん。動画は自分たちだけでお金をかけずにできる、「自前マーケティング」の手法でもあるんです。ここでは中小企業のマーケティングを大得意とする「はちえん先生」こと坂田誠さんに、実績に裏付けられた究極の動画マーケティングのテクニックを紹介してもらいます!!
Photo:藤代誉士
「はちえん先生」こと坂田 誠
(株)はちえん。全国の商工会議所などで年間100本、総計500本以上の中小企業向けセミナーで講師を務める、「はちえん先生」の愛称で人気のコンサルタント。http://8en.jp/
動画マーケに取り組む前に誤った思い込みを捨てよ!
動画が大きな注目を集める今、 大企業は動画マーケティングに膨大な予算を割くと聞く。そんな話を耳にすると、中小企業は「予算も技術もないウチには無理」と諦め気分になるというもの。しかし! それは大きな勘違いだと断言したい。なぜなら、私がお手伝いをしている企業・店舗には「スマホ1台、予算0円」で自前で動画を制作し、売上を飛躍的に伸ばしているところがいくらでもあるからだ。では彼らのように成功するには何をすべきなのか。私はまず、2つの「思い込み」を是正すべきと考える。
間違った思い込みの一つは「大事なのは編集だ」というもの。予算が少ない企業に限って、テレビ番組のように編集された動画こそがいい動画だと信じ込んでいるがそれは違う! きれいで豪華な動画をつくっても、パンフレットを動画に焼き直したような内容では見る人の心には響かない。その一方で、動画の撮影や編集は素人レベルでも、その話し方や振る舞いに情熱やお客様への感謝が溢れ、わかりやすい商品の使い方や的確なアドバイスが盛り込まれていれば、必ず顧客はついてくる。「売れる動画」とは、顧客の心の琴線に触れる、“本質”を満たすものを言うのだ。
スマホ1台でいますぐ始められる動画マーケ
もう一つの思い込みは「機材がないから動画が撮れない」というもの。確かに数年前まで、動画制作は高性能なPC、高価な編集ソフトが必要な、プロ領域の作業だった。だが、今はスマホ1台あれば十分な画質での撮影、そしてプロ風の編集まで、簡単にできてしまう。
私が特におススメするのは、iPhoneやiPadで使える動画編集アプリ「iMovie」。私はこれまでiMovieを使った動画制作を、アナログ世代の中高年層を含む総計3,000人以上に講義してきたが、1人の脱落者もなく、全員が動画を完成させている。子どもからお年寄りまで、誰でも動画はつくれるのだ。
さてここからは「売れる動画」の9要素を、事例と合わせて紹介する。当該店の動画を視聴した上で解説を読み、自前動画マーケティング成功の秘訣を「体感」として吸収してほしい。
[秘伝その1]
動画で大事なのは編集ではない! 顔出しで「本当に大事なこと」を語れ

※YouTubeで「ぴあの屋ドットコム」で検索
動画には、綺麗な編集が必須…そんな思い込みを打ち砕くのは京都の「ぴあの屋ドットコム」の動画だ。同店は動画を活用し、中古ピアノを1年で1億3,000万円も売る中古楽器業界の有名店。なぜ、数十万~数百万円もする中古ピアノが、実物に触れることのできないネット販売でそこまで売れるのか? 私はその理由を「編集ではなく本質にこだわっている」ことと、社長の石山雅雄さん自らが「顔出しで登場」しているところにあると見ている。動画内での石山社長は、見る人を笑顔にさせる軽妙かつ暖かいトークで、傷や使い具合などを含めた中古ピアノの状態を嘘偽りなくレポート。そして顧客が知りたいピアノの音色は試奏でじっくりと聴かせる。撮り直し・編集なしの一発撮り、素人感が満載の動画だが、大事な要素を顔出しして語る様子に見る側は引き込まれる。石山社長は、取り扱うピアノは必ず動画を投稿している。その累計は4,000本以上! 圧倒的だ。「動画で売る」には編集にはこだわらなくてもいい。それよりも、お客様を楽しませ、知りたいことを、自分の顔で語るのだ。