2016.08.29
One's View コラム Web Designing 2016年10月号
【コラム】オウンドメディアの副作用 今月のお題「オウンドメディア」
さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。
オウンドメディア。ここ最近のWebマーケティングでは必ずと言っていいほど出てくるワードだろう。弊社も「MEMOPATCH」というオウンドメディアを持っており、もうすぐ始めて4年になる。グッドパッチの社員がまだ5人ぐらいしかいない時から運営しているのだが、オウンドメディアを始めようと思った理由は、僕が米国サンフランシスコ時代に働いていた会社がオウンドメディアをうまく活用して集客を行っていたからだ。考えるまでもなく自然と始めていたのだ。
オウンドメディアをつくる目的というのは企業によってさまざまあるが、MEMOPATCHを始めた時に僕が設定した目的は、自社のできることをアピールして集客や売上に繋げようというよりも、当時はUIやUXに関する情報のブログはかなり少なく、UIに興味があるデザイナーたちやUIデザイナーになりたい人たちにもっと有益な情報を届けることだった。つまり、UIやUXデザインの啓蒙を第一のゴールに設定したのだ。
最初は記事を更新するのも大変だったし、読んでくれる人も多くなかったが、記事を書いてくれる人材を専任で置いたところ、「なぜ日本のWebデザインはダサいのか?」という記事が大きくバズり、そこから読者が増えていった。
その後、定期的にバズる記事を生み出せるようになり、当初の目的とは違うところで効果が出るようになってきた。それは採用である。当時はUI関連のブログが少なかったこともあり、業界内でMEMOPATCHを読んでくれるデザイナーがかなり多く、面接に来る人たちも大半が「MEMOPATCHを読んでグッドパッチを知りました」というほどに、採用面でかなり役立った。ここ最近は更新頻度が減ってしまったのだが、それでも毎月更新している「新しいものが大好きなGoodpatchで◯月に話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ」はずっと続けており、このまとめだけでも毎月楽しみに読んでくれる人がいる。そう考えると当初の目的からは外れるが、MEMOPATCHは採用、ブランディングと自社に良い影響をもたらしたのは事実である。