2016.07.11
【未来食堂】SNS=あなたに宛てた手紙のようなもの 今号のテーマは「SNS」
東京・神保町に位置する定食屋「未来食堂」をご存じでしょうか? エンジニアとして勤めた小林せかいさんが、オープンソースの概念を飲食業で実践する素敵なお店です。そんな小林さんの頭のなかをオープンにするこの連載。はたして、どこにたどり着くのでしょうか!
こんにちは。未来食堂のせかいです。
今回のお題はSNS。前回「未来食堂は何をオープンにしているか」を図説しましたが、SNSはブログとともに「自分の考えをオープンにする自分発信のプラットフォーム」として書きました。情報を発信するときに未来食堂が気をつけていること。それは「“あなた”を埋もれさせない」ということです。
SNSを“集客ツール”と思ったことはありません。このコラムもそうです。マスに向かってというよりも、“今は離れてしまっているけれど、仲の良い友人”に宛てる手紙のようなイメージで書いています。
たとえばこのコラム。自分は特に元ITエンジニアだったこともあり、“会社の元同僚”に宛てた手紙のように書いています。知人に宛てた手紙なのですから、「未来食堂に来て下さい」ということはありません。来てくれることはわかりきっているからです。
マスに向かって宣伝をして、ファンを束ねて“コミュニティ”を作る。そういったあり方は“あなた”が埋もれてしまいませんか? 私はそんな風に“あなた”をタグ付けしたり、グルーピングをしたくないのです。ただ、“わたし”と“あなた”がいる。そのミニマムな関係を、どこまでも大事にしていきたいのです。
「それではスケールできないぞ!」、そう笑う方もいるかもしれません。しかし、未来食堂Facebookページへのいいね!は、6,579件(5月29日現在)。ブログ『未来食堂日記』は2,000PV/日、未来食堂を取材した記事群は、トータルで10万シェアを超えています。たったひとりに向かって発信するというあり方が、結果的にものすごくたくさんの方々に受け入れられています(これは私も想定外でした)。
SNSの最たる利点である“コミュニケーション”をとることもありません。ずっと仲良くしている必要はないと思うからです。一文無しになったり、追い詰められたときに未来食堂のことを思い出してほしい。そういうスタンスなので、ずっとつながっている必要を感じません。「片足立ちは不安定だけれど、手の小指の先だけでも壁に触れていると、立つのがずっと楽になる」。人が人を支えること、“つながり”を考えるときに思い出すのはこの話です。ちょっとでいい。小指の先だけで十分なんです。
どうやって“あなた”にまっすぐ届けるか。最近はそれをよく考えます。届いているのかな。この手紙は。でも心のどこかでそれを確信していて、だからこそこの独特なあり方を、手紙を書き続けられるんだろうと思います。
※この連載のネタ帳はGitHub Gistにて公開しています。
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