2016.05.12
写真だけでは伝えきれない“らしさ”を設計するための思考と施策 クライアントの性格を紐解いて掴む
福島の米農家、加藤家が営む「カトウファーム」では友人知人から「加藤さんらしくない」と、サイトの評判がイマイチだったという。リニューアルを依頼されたLIGは、“加藤さんらしさ”をどのように設計していったのだろうか。
カトウファーム http://katofarm-f.jp/
LIG http://liginc.co.jp/
出会いはLIGブログから
家族経営で営む福島の米農家「カトウファーム」とWeb制作会社であるLIGの出会いは、2013年1月にさかのぼる。もともとLIGブログの読者だったという同社代表の加藤晃司氏から、突然お米が送られてきたのがきっかけだった。そこから2015年秋にプロジェクトがスタートするまでの経緯を、LIGの制作チームの中から、ディレクターの八木あゆみ氏とデザイナーの野辺地美可子氏に聞いた。
「加藤さんから、自分のお米を一度食べてみてくださいと送っていただき、ブログの記事としてご紹介しました。当時はまだ弊社の規模も小さく、LIGブログの閲覧数は100万PVに満たないころでした。アプローチをしてくださった方とはFacebookで友達になることも多く、加藤さんともメッセージのやりとりなどのおつきあいをしていました」(八木氏)
それから約2年半の月日を経て、カトウファームは、サイトのリニューアルをLIGに依頼することになる。
「サイトを2015年6月にリニューアルされたばかりにもかかわらず、8月末にご連絡をいただきました。まわりの方から、『加藤さんらしくない』『家族感が出ていない』と言われたそうです。でも、サイトを見てみたら、ご家族の写真を使っているし、親戚の子どもの動画も載っている。写真では伝わらない“加藤さんらしさ”が何なのか、しっかり設計しなければと思いました」(野辺地氏)
クライアント企業の性格を分析する
そうして、LIGの制作チームは、福島の加藤家を訪れることになった。
「サイト用の写真や動画撮影のために、稲刈り前の10月頭にお邪魔しました。直接お話できたのが、人柄を知る上でとても役に立ちました。まず感じたのは、とにかく笑顔でフレンドリーな方々だということです」(野辺地氏)
「その一方で、まじめで郷土愛が強い。もちろん震災の影響も福島の農家さんにとってネックになっているのですが、被害者テンションではいたくないと考えられていて。震災によって農業ができなくなってしまった、福島の海側の農家さんたちを雇用するために法人化して、後継者がいない周辺農家の田んぼを引き継ぎ、その方たちに育ててもらうという取り組みもされていました」(八木氏)
直接会った印象から、課題であった加藤さんらしさを掴み、デザインへと落とし込む作業が始まった。