2015.09.20
いま求められる「スマホ最適化」とは?●特集「スマホ最適化」
「スマホ最適化」とはどのようなことを指すのだろうか? ここでは、マーケティング視点でスマホのデバイス特性を考えながら、「最適化」が意味することを明らかにしていきたい。
ユーザーに着目してこそ、収益につながる「スマホ最適化」
インターネット利用の主流は完全にPCからスマホに移行しつつあり、その流れはここ1~2年で急激に加速している。電車に乗れば座っている全員がスマホの画面を眺めている、書店でスマホを使って検索しているなど、日常生活でスマホの浸透を感じさせる場面が多く見られるようになった。アクセスログを見ても特にBtoC企業においては、この2年でスマホがPCのアクセスを逆転しているケースの方が多く見られるようになっている。
スマホがユーザーの生活に溶け込み、あらゆる場面で使われるようになっていることを象徴する写真が、米『NBC News』に掲載された。新ローマ法王を見ようと集まった人々を後ろから捉えた写真は、たった8年でスマホやタブレットの所有率が上がった様子を鮮明に映し出している。各種リサーチ結果をみても、スマホが生活のあらゆる場面に登場し、他のデバイスやメディアと同時に利用される様子が浮き彫りになっている。

本質的な「スマホ最適化」とは?
スマホによって導かれたユーザー環境の大きな変化に対して、企業側は早急な対応が求められている。しかし、「レスポンシブWebデザイン」や「スマホファースト」などのキーワードが先行し、有効な手が打てていないケースが多いのが現状である。また、ユーザーをしっかりと想定しきれていないスマホ施策がかえって顧客の満足を押し下げてしまっている状況も発生している。
たとえば、ある金融機関が他社に先駆けて既存顧客向けのスマホアプリを提供した。そこで、利用者の満足度調査を実施すると、そのアプリ自体が顧客の満足度を大きく押し下げていたことが判明した。このアプリのKPI(成果指標)は、ダウンロード数に設定されていたのだが、ダウンロードされればされるほどお客様の満足度が低下していく、という笑えない話が実際に起きていたのである。
ユーザーに貢献し、収益につながる「スマホ最適化」を実現するためにはどうするべきか。答えはスマホを起点に考えるのではなく、スマホを利用する「ユーザー」に着目することで見えてくる。Chapter1では、ユーザーを起点にした本質的な「スマホ最適化」とは何かについて事例を交えて解説したい。