2016.05.01
何を、誰にアピールする? 零細企業だからこその強みの見つけ方 自社の事業の特長を客観的に見つめ直す
あなたは初対面の人に、自社のサービスを一言でわかりやすく伝えることができるだろうか? Webサイトのリニューアルを機に、自社の課題や強みを認識し、改善に繋げた森工芸社の事例をみてみよう。
森工芸社 http://morikougeisha.com/
パイプライン http://pipeline-dw.com/
自社を一言で説明すると?
埼玉県草加市の(有)森工芸社は、社員数8人の木材加工会社。2015年10月にWebサイトをリニューアルすると、ローンチから1カ月も経たないうちに問い合わせ件数が急増、セッション数は約10倍になるなど、大きな成果を上げた。その理由は、制作会社の協力を得て、自社の課題を見つめ直し、ターゲットに届く形できちんとアウトプットすることができたからだ。
もともと同社は、電材と呼ばれるブレーカーなどを収納するボックスを木材で製作するBtoB向け企業だ。リニューアル前のWebサイトにも会社概要や事例は掲載していたものの、あくまで企業向けの内容で、Webからの月の問い合わせも2、3件程度だった。
「以前は、初めて会うお客さまに『何をする会社ですか?』と聞かれても、電材製作としか説明できなかったんです。でも、それでは業界の人にしか伝わりません。今後は新しい機械を導入して仕事の幅も広げるつもりだったので、より多くのお客さまにアピールするために、Webサイトをリニューアルしようと考えました」(石本加代子氏)
このような相談を受け、Webサイトのリニューアルを手がけたのが(株)パイプラインだ。代表の松本大河氏は、森工芸社の以前のWebサイトの問題をこう指摘する。
「一目見て木材関係の会社であることはわかりましたが、どこが事業領域で、何が強みなのか、さらに、BtoBなのかBtoCなのかもWebサイトからはわからないのが第一印象でした」
また、森工芸社はちょうどその頃、事業の方向性に迷っていた時期でもあった。そこで、Webサイトのリニューアルを機に、事業全体を改めて見直す作業に取り組むことにした。
松本氏は、森工芸社の主な業務や同社に寄せられる問い合わせなどをヒアリングして、石本氏に同社の現状を客観的に示したレポートを提出。それをもとに、社内で1カ月かけてディスカッションしてもらい、自社を見つめ直しもらうことにした。このとき、松本氏が石本氏にアドバイスしたポイントは「ユーザー目線」。会社として「何がしたいか」ではなく、「ユーザーが何を求めているか?」と「ユーザーの要望に対して自分たちは何ができるか?」を考えることだった。
例えば会社に寄せられる問い合わせからは、「ユーザーが何を求めているか?」を読み取れるし、これまでの主な業務を振り返ることで、会社の強みやソリューションを浮かび上がらせることができると松本氏は考えたのだ。