2016.02.18
「エンゲージメントの高い顧客=リピーター」ではない●特集「リピーター&ファンを生む新法則」
自社の商品のリピーターを増やすには? この課題を考えるとき、必ずと言っていいほど出てくるキーワードが「エンゲージメント」。顧客のエンゲージメントを高めることが重要と言われるが、はたしてエンゲージメントとは何だろう?
エンゲージメントが注目される理由
1990年代までのマーケティング手法では、同じような需要を持った一般大衆に向けた商品・サービスをつくり、多くの新規顧客を獲得することが主な戦略だった。しかし、今後は日本が人口減少時代を迎えるため、新たに獲得しうる顧客の数が減っていくことが予想される。マーケティングの大家であるフィリップ・コトラーは、「新規顧客の獲得コストは既存顧客との関係を深めるよりも5~10倍かかる」と述べており、それを超えるだけの新規顧客を期待できない現在ではコスト面から見ても新規獲得に注力することは割にあわなくなりつつある。
さらに、情報技術の発展に伴い、インターネットという大きな情報源を多くの人が使うようになった。その結果、これまで以上に多くの選択肢から詳しく比較検討をすることができるようになり、顧客が多様なニーズを持つようになった。加えて、ソーシャルメディアなどを通じて、一人ひとりの顧客が抱いたサービスへの評価が瞬時に拡散し、サービスへの評価が乱高下しやすくなっている。
今後は、新規顧客を大量に獲得する戦略は難しさを増していき、そのかわりに既存顧客と良い関係をつくることが、競争を勝ち抜くポイントとなっていく。それがエンゲージメントであり、近年「顧客エンゲージメントを高める」ことの重要性が叫ばれている背景だ。
囲い込み=エンゲージメント向上?
では、「エンゲージメント向上」と聞いたとき、どのような手法が思い浮かぶだろうか?