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知的財産権にまつわるエトセトラ Web Designing 2016年5月号

法改正で広がる「商標」の世界 ~青山ではたらく弁護士に聞く「法律」のこと~

身の回りに溢れる写真や映像、さまざまなネット上の記事‥‥そういった情報をSNSを通じて誰もが発信したりできるようになりました。これらを使ったWebサービスが数多く誕生しています。私達はプロジェクトの著作権を守らなくてはいけないだけでなく、他社の著作物を利用する側でもあります。そういった知的財産権に関する知っておくべき知識を取り上げ、毎回わかりやすく解説していくコラムです。

今回は「商標権」についての話です。商標とは商品やサービスを提供しているのが“誰か”を示す標識のことです。グッチやプラダの商品に表示されている商標を商品商標(トレードマーク)、ヤマト運輸(クロネコ)など、サービスに際して表示されている商標を役務商標(サービスマーク)といいます。商標権は、著作権と異なり特許庁に登録をしないといけませんが、登録に際しては商標とともに、商標を使用する商品・役務を指定することになっています。そして、商標権が成立すると権利者以外は登録商標と同一または類似する標識を、同一または類似する商品・役務について使用することができなくなります。

商標として登録できるのはロゴ(文字)やマーク(図柄)といった「平面商標」と、大阪の「くいだおれ太郎」などの「立体商標」に限られていましたが、2014年の法改正で、登録できる商標の種類が拡大されました。みなさんに関係しそうなのは、「音の商標」と「動きの商標」でしょう。

音の商標とは、メロディにのせて商品名や会社名を流すサウンドロゴなどです。このようなサウンドロゴは、あまりにも短いために著作権で保護することは難しいと考えられてきましたが、法改正によりこれが商標権で保護されるようになりました。

「動きの商標」は画面上で変化する文字や図形などです。これらの映像は映画の著作物として著作権も成立しますが、それとは別に商標権も成立することになります。細かく紹介はできませんが、このほかにも「ホログラム商標」(三井住友カードのホログラムなど)、「色彩のみからなる商標」(クリスチャン・ルブタンの靴底の赤など)そして「位置商標」(エドウインのジーンズのポケット脇に縫い付けられたタグの位置など)が商標登録できるようになりました。登録されると商標権者以外はこれらを商品や役務の提供者を示す標識として使用することが禁止されます。

下に登録商標の例を掲載していますが、これらはコラムの執筆者や本誌の発行元を示す標識として使用しているわけではないので問題ありません。しかし、運営主体のように見える態様で使用すると、侵害となる可能性があります。なので、Webサイトのトップ画面で商標登録された映像・音楽を使用したりするのは避けた方がいいでしょう。

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いろいろな商標。味の素(株)のサウンドロゴ(音の商標・左上)、東宝映画の冒頭に表示される動画(左下)、菊正宗酒造のCMで流れる動画(動きの商標・右)

なお、著作権と商標権はそれぞれ別個独立の権利です。著作権侵害にならなくても商標権の侵害になることはありますし、その逆もあります。登録されている商標、指定商品・役務、権利者などの情報は「特許情報プラットフォーム」Webサイトで確認できます。商標登録されているサウンドロゴを聴けますので、試しに検索してみてはいかがでしょうか。

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特許情報プラットフォーム(J-PlatPat) 

 

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Text:桑野雄一郎
1991年早稲田大学法学部卒業、1993年弁護士登録、2003年骨董通り法律事務所設立、2009年より島根大学法科大学院教授。著書に『出版・マンガビジネスの著作権』社団法人著作権情報センター(2009年)など。 http;//www.kottolaw.com/

掲載号

Web Designing 2016年5月号

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2016年4月18日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

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業績向上、業務改善‥‥その必要性は十分感じているものの、どうもうまくいかない。他 部署の連携をはじめ、プロジェクトがうまく進まない。その理由には時間や予算、体制など のリソースや業界動向なども影響していますが、そもそも今、課題として掲げているポイントは、本当の課題なのでしょうか? 課題の設定が間違っていれば、望まれる改善は期待できません。本特集では、「解決すべき課題」へのたどり着き方やデジタルツールを利用した「気付き」発見法などを、実際に手がけた仕事をもとにWeb制作・企画のプロたちが実践している「今日から使える」問題発見・分析・解決法を紹介します。

 第一部 成果を上げたデジタル施策の問題【発見】【分析】【解決】術
 【Introduction】問題解決のための正しい「課題設定」
 #01 _Case Study   Yahoo!映画│Kaizen Platform KPIツリーとグロースハックによる定番サイトの変化
 #02 _Case Study   SPACE DESIGN COLLEGE│DONGURI シナリオを組み立てて学校の有益性を伝える
 #03 _Case Study   博報堂コンサラクション│博報堂アイ・スタジオ 発掘した「ゴールデンルート」で課題解決
 #04 _Case Study   カトウファーム│LIG “らしさ"を設計するための思考と施術
 #05 _Case Study   森工芸社│パイプライン 自社事業をアピールするための強みの見つけ方
 #06 _Case Study   VITALISM│ベースメントファクトリープロダクション 商機と成果を生み出すユーザー目線の商品設計
 #07 _Case Study   Benesse│ takram プロトタイピングが変えたものづくりの現場
 【Column】
  偉人たちの金言20   課題解決のための地頭を鍛える10冊

 第二部 「数字」が教える本当の課題
 【Introduction】 課題解決のためのデータ分析の3つのポイント
 #01 _Case Study   VASILY データ取得の重要性とその活用法
 #02 _Way of Thinking   アクセス解析ツールだけで「課題」は見つかるのか
 #03 _Case Study   アルク│Ptmind アクセス解析+ヒートマップで「見える化」する
 #04 _Case Study   ギャプライズ│Wantedly、Peach John ツールを組み合わせて課題発見から解決へ
 【Column】
  導入のためのデジタルマーケティングツール マップ   Excelを使ってデータを「見える化」しよう

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 □ ECサイト業界研究
  プラットフォーム~オリジナルのエコシステムが成功に導く

 □ 月刊店舗設計
  収納の巣:価格競争に参加せず、提案型コンテンツで「考え方」を売る

 □ モバイルビジネス最前線
  Eight:スタートアップ企業の新規事業もたらすイノベーションと価値創造

 □ 知的財産権にまつわるエトセトラ
  法改正で広がる「商標」の世界

 □ Bay Area Startup News
  「UXが最も大きな企業価値」Airbnb CTO、Nathan Blecharczykが語る

■ マーケティング・プロモーション
 □ データのミカタ
  メッセージングアプリがビジネスを変える

 □ デジタルプロモーションの舞台裏
  “ぶっちゃけ精神”で勝負する森永製菓のWeb戦略

 □ 行動デザイン塾
  “行動フレーミング”で習慣化を狙え

 □ 解析ツールの読み方・活かし方
  データに基づいた戦略的Twitter 広告の実際

■ コラム
 □ One's View
  今月のお題【課題解決】
  オンラインゲームで培われたネットのあれこれ by 白井明子
  サービス開発は自らの課題から始める by 土屋尚史
  がんばらないシステムでゆるく課題解決 by 峰松加奈

 □ モノを生むカイシャ
  dot by dot Inc,:最高の広告を求めるカイシャ

 □ 未来食堂の「せかいと未来」
  オープンソースな定食屋はじめました

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