ニッチな製品でも、世界には需要がある!|WD ONLINE

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Bay Area Startup News Web Designing 2016年4月号

ニッチな製品でも、世界には需要がある!

海外で起こっている、あるいは起こりつつある新しいビジネスの潮流、近い将来に日本にやってくるであろうビジネストレンドなどを紹介・考察します。米国サンフランシスコ在住の筆者が、サンフランシスコおよびシリコンバレーの「ベイエリア」を中心に、イケてるスタートアップを中心とした会社、サービスを毎月1つ取り上げながら、その背景や目的、今後日本で起こりうるトレンドについて追究します。

サンフランシスコに本社を置く「Indiegogo」は、Kickstarterと並ぶ世界最大級のクラウドファンディングプラットフォームです。クラウドファンディングとは、プロダクトを製作・出荷する前の段階でユーザーからプリオーダー経由で資金調達をするためのサービスで、近年FINTECH(フィンテック)系サービスの一つとして大きな注目が集まっています。

2015年には、このIndiegogoを利用して、226カ国250万人のユーザーがテクノロジー、映画、エンターテインメントと幅広いカテゴリーに渡る17万5,479のアイデアに出資しました。また、海外からの参入に関してもオープンで、我々btraxも同社と共同で日本からの参入サポートを提供しています。

2008年にスタートしたIndiegogoの出資累計金額は、総額で約8億ドル(約1,000億円)にもなります。特にハードウェア系のプロダクトはIndiegogoとの相性がよく、家庭用アシスタントロボットの「Jibo」は220万ドル(約2億6,000万円、後にベンチャーキャピタルより約6,000万ドル(約72億円)の調達に成功)、Indiegogo史上最大のファンディング額となった「Flow Hive」はなんと150カ国の3万7,000人から約1,200万ドル(約15億円)以上もの大金を集めました。

ちなみに、このFlow Hiveは最近話題のIoTでもFINTECHでもありません。むしろプロダクトとしてはかなりニッチな養蜂者向けの“箱”です。これが実際に養蜂している人たちから見ると、喉から手が出るほど魅力的なプロダクトだったのです。

このように、一見マニアックそうなアイテムでも、世界中を見渡せば欲しいと思うユーザーは意外と多く、クラウドファンディングを活用することでグローバル規模での巨額の資金調達が可能になります。

ハードウェアスタートアップにおいて、クラウドファンディングはアイデアを検証し、初期に販売するチャネルとして一般的になっています。資金が集まるかどうかで製品にどれだけ需要があるかがわかり、多くの額を集めることでさまざまなメディアで紹介されるため、プロモーション効果が非常に高いのです。

Indiegogoのオフィスでは、定期的にハードウェアスタートアップのピッチイベントを実施しています。こういったイベントでは、デモを見るだけでなく、デモの後のパーティで直接プロダクトに触ったり、開発者から話を聞くこともできます。

日本国内だけでは十分な需要が得られなさそうな製品でも、世界の人々の目に触れる機会を増やすことで意外なニーズを掘り起こせるかもしれません。クラウドファンディングこそ、海外進出の第一歩としては最適なプラットフォームでしょう。

 

ハードウェアの出展に対して積極的なクラウドファンディングプラットフォーム「Indiegogo」。出前の注文やIoTデバイスのコントロールなどが可能な「Jibo」(右上)や、養蜂業者でなければただの箱にしか見えない「Flow Hive」(左下)など、全世界から多額の出資を受けています。同社では、定期的に「Hardware Happy Hour」と称したイベントを開催し、スタートアップの発表・交流の場を設けています(右下)
Indiegogo

 

Text:ブランドン・片山・ヒル
米国サンフランシスコに本社のある日・米市場向けブランディング/マーケティング会社Btrax社CEO。主要クライアントは、カルビー、TOTO、JETRO、伊藤忠商事、Expedia、TripAdvisor等。2010年よりほぼ毎週日本から米国進出を希望する企業からの相談を受け、地元投資関係者やメディアとのやりとりも頻繁。http://btrax.com/jp/

掲載号

Web Designing 2016年4月号

Web Designing 2016年4月号

2016年3月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

ECサイト、次に打つべき6つの施策/Adobe Animate CC

サンプルデータはこちらから

■ 特集:ECサイト、次に打つべき6つの施策
 自動化・効率化‥‥。あなたのサイトを儲かるサイトに!

自動化と効率化が鍵。儲かるサイトはこうつくる!
「ECショップの売り上げが伸びない!」「それどころか、毎日の作業に押しつぶされそう」といった悩みを持つ店長さんやショップの運営担当さんは数多くいらっしゃるはず。そこで彼らの声にじっくりと耳を傾けてみると、「集客」「決済」「ステップメール」「チャット」「多店舗展開」「倉庫・物流」の6つにポイントがあることが見えてきました。
儲かっているショップは、この6ポイントをよくよく見直し、ツールなどを使いながら、自動化・効率化しているのです。本特集は、悩めるショップの皆さんはもちろんのこと、サイトの制作に携わるWeb制作者の皆さんにも読んでいただき、一丸となって「売れるECサイトづくり」に勤しんでいただくための内容になっています。さあ、はじめましょう!

 【Introduction】中小ECサイト運営者が、今取り組むべき6つの施策
 手間のかかるSNSマーケティング、本気で取り組むならツールが役立つ
  プロが薦める最新デジタルツールレポート1:コムニコマーケティングスイート
 カード決済をしない顧客に最適な支払い方法を提供する「導線」を
  プロが薦める最新デジタルツールレポート2:Amazonログイン&ペイメント
 シナリオに沿って内容を変え、自動送信する「ステップメール」
  プロが薦める最新デジタルツールレポート3:アスメル
 【Column】中小のECサイトにこそ、マーケティングオートメーション導入を
 Webにおける「おもてなし」の接客を実現する「チャットツール」
  プロが薦める最新デジタルツールレポート4:Zopim
 モール間の管理・連携を自動化してくれるツールがすごい
  プロが薦める最新デジタルツールレポート5:ネクストエンジン
 使いやすく独自色の強い新しい物流サービスに注目を
  プロが薦める最新デジタルツールレポート6:オープンロジ

■ 集中企画:Adobe Animate CCの全貌とその戦略
 “Flash”がHTML5時代に生まれ変わった! リッチコンテンツ作成ツールの必要性を解説

リッチコンテンツツールとしてWebシーンの一時代を築いてきたAdobe Flash Professionalが約3年ぶりのメジャーバージョンアップを行い、2016年2月、その名称を「Adobe AnimateCC」として正式に公開されました。「なぜ、今、Flashをバージョンアップするのか」「何ができて、どのような需要に対応しているのか」など、その全貌と、これからの展望について解説していきます。

■ WD SELECTION
Prius I.D./relax×LEGACY『relax』特別復刊プロジェクト/ホンダオートテラス presents 中古車グランプリ/リベロジック株式会社/727看板物語/アニメ『ヒストリカル』/IJC MUSEUM IS JAPAN COOL ?/KPP 5th Anniversary Special Website/PS4「進撃の巨人」(Yahoo! JAPAN PR企画)/GIANT MINI4WD PROJECT/un-T factory! NAGOYA /NON-GRID Inc./SAVASミルク「よみがえれ、運動部魂! 部活ワザ選手権」

■ ビジネス・EC
 □ ECサイト業界研究
  ファーストタッチポイント:リピーター獲得のポイントは「ダンボール」にあり

 □ 月刊店舗設計
  ブランドショップAXES:細かな改善を積み重ね、売上を半年間で150%向上

 □ モバイルビジネス最前線
  monomy:日本のモノづくりを変える? 新スタイルのアクセサリー通販アプリ

 □ 知的財産権にまつわるエトセトラ
  動物が描くアート作品と著作権

 □ Bay Area Startup News
  ニッチな製品でも、世界には需要がある! クラウドファンディングで海外進出

■ マーケティング・プロモーション
 □ サイト改善基礎講座
  アクセスログに統計解析を用いてユーザー像を導く

 □ ハギハラ総研
  ネット利用時間という考え方はいずれなくなる

 □ デジタルプロモーションの舞台裏
  ど真ん中の商品訴求でビール・酒類商戦を勝ち抜く

 □ 行動デザイン塾
  “脳内カレンダー”活用のススメ

 □ 課題解決のためのUI実装講座
  ページ遷移をなくして離脱を防げ! 無限スクロールの活用方法

 □ 解析ツールの読み方・活かし方
  過去パターン依存から脱却し、新たな顧客層を掘り起こす

■ クリエイティブ・コラム
 □ ナビゲーターが選ぶ注目のデジタルコンテンツ
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  [デジタルプロモーション]PR成功の黄金律:Intelligent Parking Chair by 築地 Roy 良
  [Webサービス]声で伝えるストーリー:Adobe Voice by 土屋尚史
  [IoT]本当に意味のあるものは、いつだってシンプルだ:Calender Watch by 神谷憲司

 □ モノを生むカイシャ
  シフトブレイン:本当の仲間たちとたどり着いた「働き方」の追求

 □ 清水幹太の「Question the World」
  褒めて褒めて褒めまくって、歴史を刻む:クレア・グレイヴス

 □ ツクルヒト
  「圏外」から伝えつづけるリアル:都築響一(編集者)

 □ 最果タヒの「詩句ハック」
  第22回 自動返詩

 □ デザインにできることMonologue
  Vol.147 2001年から旅して

 □ エキソニモのドーン・オブ・ザ・ボット
  人工知能は超知能、そして“悟り”へ‥‥。人間とBOTの対談も今月でログアウト!

■ インフォメーション
 □ Topics
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 □ Movement&News
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