2016.04.01
多店舗管理に煩雑な作業を自動化し、EC事業に「余裕」を生み出す●特集「ECサイト、次に打つべき6つの施策」 プロが薦める最新デジタルツールレポート⑤:ネクストエンジン
複数店舗の管理には大変な手間がかかる。それを効率化するのが多店舗展開ツールだ。その中でも、斬新な発想で作られたツールとして注目を集めているのが、ハミィが提供する「ネクストエンジン」だ。
“痛い目”が作り上げたサービス
「ネクストエンジン」はECなどの小売事業者や向けに開発された「多店舗展開」のためのツールだ。楽天市場、Yahoo!ショッピング、アマゾンなど複数のネットショップやモールを横断しての受注や在庫の管理を一括で行うことができるほか、それらに伴って発生する発注業務や顧客の管理、メール発送など、ECショップの運営に欠かせぬさまざまな機能を揃えたクラウド型のサービスだ。
最近、EC市場の規模拡大に伴って、注目を集めるようになった多店舗展開ツール。その中でもネクストエンジンは、他にはない視点からサービスを構築し、多くの事業者から高い評価を得ているのだが、その特色をよく表すのが、このサービスの「来歴」だ。
ネクストエンジンの開発と運用に携わる、ハミィの鈴木淳也さんは、同社は「そもそもECショップだった」と話す。
「ハミィは、ネクストエンジンのようなサービス事業を始めるずっと以前から、『ハミィ ストラップヤ』をはじめとした、携帯ストラップなどのグッズを販売するECショップを運営してきました。その事業が大きく発展し、店舗を増やしていったのが、ガラケーが全盛だった10数年前のことです。楽天市場にはじまり、アマゾンs、ビッダーズ、さらには海外向けショップも運営するようになっていったんですね。売り上げを上げるためには、なんといっても、店舗を増やすというのが早道でしたから。そうしてどんどんと手を広げていった結果、在庫管理の難しさに直面したわけです」
当時「世界一の品揃え」をうたっていたストラップヤは、数百カ所もの取引先から取り寄せた小さなストラップを扱う極端な「多品種展開」をしていた。それを複数の店舗に振り分けながら出荷対応をしていたのだ。
「当初はしExcelを使って、すべて手入力で管理していました。PCの画面を睨みながら、モールごとの異なる管理画面を操作して出荷していたのですが、ある頃から、注文がどんな状態なのか、品物が実際に倉庫にあるのかがわからなくなるという事態が多発するようになったんです。各店舗向けの在庫の割り振りがうまくいかない、といったことも日常茶飯事でした。
そうなると、当然ながらミスが増えます。ミスが増えるとトラブルやクレームが増える。ECには在庫管理以外にやらないといけないことがたくさんあるのに、そちらにまったく手をかけられなくなったんです」
その結果、注文は増えているのに売り上げが落ち、「一部店舗の閉店に追い込まれたこともあった」という。そこで痛感したのが「在庫管理の重要性」。鈴木さんはその課題の克服が、トラブルを減らすだけにとどまらず、事業を成長させる原動力になると考えたという。
「ミスを減らそうというマイナスを埋める発想ではなく、本来ECショップが力を入れるべき接客であったり、品揃えの充実、さらには商品開発といったところにエネルギーを使えるようにしよう、と考えたんです。やっぱり、こういう商売をする以上、お客様に『神対応だ!』なんて言われるようにしたいじゃないですか」