2015.09.25
集中企画一覧 Web Designing 2015年10月号
Instagramをビジネスに活用する(2/3) フィード広告開始で本格化するビジュアルマーケティングの現在
ビジネス分野で急速に脚光を浴びる写真投稿サービス「Instagram(インスタグラム)」。このInstagramを今、プロモーション手法として採用する企業が増えている。広告配信ビジネスの強化が発表されたことで、マーケティングツールとしての注目度が高まっているのだ。では、どんな施策で効果があり、どのように使えばいいのだろうか。
SNSマーケティング担当者は何から始めるべきか
Instagramとその事例を見てきたが、これからInstagramを企業で活用しようとする場合には、まず何から始めればよいか。また、施策の効果を測定する方法には何があるかについて見ていこう。
企業アカウントの運用
他社の運用事例やコミュニティの雰囲気、Instagram広告の概要をつかんだら、次は実際に自社アカウントを取得し、製品やサービスのブランド力向上にInstagramをどのように役立てるかというプランを検討していこう。ビジュアルに特化したコミュニティにあわせたクリエイティビティ溢れる投稿や、ハッシュタグによるキャンペーンなどを地道に実施して、ブランドの認知度を高めていくのが、遠回りのようでいて実は一番の近道だ。また、将来的な広告展開に備えて、今からある程度の人気を集められるアカウントに育てたい。
企業アカウントの取得自体は個人の場合と変わらない。アプリ内からサインアップして必要な情報を登録すれば、その日から投稿を開始できる。ただし、アカウントがInstagram運営サイドによる「認証済み」を公式に取得するまでは、そのアカウントが本当に公式なのかなりすましなのか、ユーザーからは判別しにくい。そのため、社名やブランド名をアカウント名として取得することや自己紹介文に公式であることの記載、URLの登録などは必須。さらにFacebookページの運用などとあわせて行うなど、公式であることがわかる情報を定期的に発信することで、アカウントの信頼性を高めていくことが重要だ。
投稿内容のアイデアは業種によって何が適切かは異なるが、単なる商品やサービスの「宣伝」に終始するのではなく、ブランドの魅力を伝えることを目的に行おう。一貫したテーマのものを投稿していくというパターンが一番わかりやすいが、あらかじめメインテーマとサブテーマを設定してハッシュタグによって分類し、オーディエンス(ユーザー)の反応を探りながら方向性を定めていくというパターンもある。場合によっては製品開発の舞台裏やスタッフの顔などを見せる、新商品のアイデア募集やティザーとしてイメージを断片的に伝えていくなどのアプローチも考えられる。
Instagram APIの活用
アカウントの運用ポリシーを策定して運用も軌道に乗ってきたら、デベロッパー登録をして、Instagram APIを利用したユーザー参加型キャンペーンについても検討したい。
一番わかりやすいのが、ユーザーが興味を持ちやすいテーマを設定したフォトコンテストや動画コンテストだ。キャンペーンのハッシュタグをつけて投稿してもらうだけなので、ほかのSNSよりも参加のハードルが低いのが特徴だ。ハッシュタグを重複させないといった基本的なものに加えて、Instagramが設定する5つのプロモーションガイドラインに反しないよう配慮しよう。
外部に設置したキャンペーンページには、企業アカウントのフォローリクエストボタンを設置したり、ハッシュタグつき投稿に含まれる画像、タグ、ユーザー名、コメント、フィルタの種類、投稿時間などの各種情報を収集して必要な体裁に整えてWebなどに表示できる。また、位置情報APIでスポット情報(店舗、イベント会場、アミューズメント施設、公共施設、観光スポットなど)を収集し、O2O(オンラインからオフラインへ)施策につなげる設計も可能だ。自社開発が難しい場合は、外部のキャンペーン支援サービスやマーケティング統合パッケージの利用も視野に入れておきたい。
解析ツールも続々登場
施策の効果測定や改善のPDCAサイクルを回すためには、Instagram用の解析ツールが欠かせない。現在Instagram専用の解析ツールとしてサイバーバズの「i-Analyzer(アイアナライザー)」、notariの「Aista(アイスタ)」などがある。簡易的なものであれば「Iconosquare」でも、基本的な情報を収集して運用の改善に役立てられる。