2015.09.26
ユーザーの行動から見直しを図った、大手保険会社の施策●特集「スマホ最適化」
マルチデバイス/チャネルのなかで、スマホに効果的な役割を与えることは重要なポイントだ。ユーザーの行動を細かく見ていくことで最適化を実現した、大手保険会社の例を見てみよう。
続いて、ある大手保険会社(以下、X社)の事例を紹介しよう。X社の顧客獲得の王道パターンの1つがテレビCMをフックにWebサイトへ誘導し、資料請求→営業電話→クロージングという流れである。テレビCMを通して認知し、興味をもつユーザーをどれだけ増やすことができるのかが最終成約数に大きく影響を与えるため、マーケティング活動の予算配分もテレビCMへの投下と、そのクリエイティブ品質の磨きこみに大きなウェイトが占められていた。
Webサイトについても、見込み顧客の連絡先を獲得するための重要チャネル用のPDCAサイクルを回しながらの改善は常時行われていた。ただ、これまではPCサイトをメインに改善してきており、スマホサイトについてはPCと完全に同じコンテンツを、スマホの横幅に最適化されたデザインで提供しているのみという状態だった。
●課題の確認
予算を割いているテレビCMが、購買以降の後押しに関しては効果が下がってきている傾向
↓
マーケティング予算のバランスを考えなおし、Webにも割り当てることで顧客の獲得効率を向上させる
●状況の確認
・テレビCMをフックにWebサイトへ誘導して顧客を獲得
・いままではPCサイトをメインに改善
・スマホサイトはPCと完全に同じコンテンツを最適化して表示
ユーザーの行動と心理の変遷
先述したAISASというマーケティングモデルの「A(注目)」「I(興味)」についてはテレビCMが、「S(検索)」「A(アクション)」については自社サイトが貢献するという役割分担だが、予算配分としては圧倒的にテレビCMに比重が置かれていた。ところが、毎年のテレビCMの効果検証結果の推移をみると、テレビCMが純粋想起に与える影響は依然として強いものの、購買以降の後押しに関しては効果が下がってきている傾向がみられ、マーケティング予算の最適な再配分をどのようにして行うかが大きな課題となっていた。つまり、前工程のテレビCMに割いていた予算の一部を後工程のWebや店舗、コールセンター、資料に割り当てることで顧客の獲得効率を向上させる取り組みへの挑戦である。