[IoT]Geoph Less is moreの精神で|WD ONLINE

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One's View コラム Web Designing 2015年9月号

[IoT]Geoph Less is moreの精神で

4人のナビゲーターが、それぞれ自分のジャンルから一つの対象を選んで毎月紹介する「ナビゲーターズコラム」。選んだ対象の目の付け所や特徴など、わかりやすく解説してくれます。

はじめまして。WHITEという会社で主にIoTプロダクトの企画を行っている神谷憲司と申します。このコラムでは、IoTプロダクトの事例や企画に取り組んでいく上で大事になる技術や考え方など、幅広く紹介しますので、どうぞよろしくお願いします。

さて、栄えある第1回は、Maker Faire Tokyoでも人気を博していたプロダクト「Geoph」です。これは、「地図のIoT化」ともいうべきGPS内蔵の登山アシストデバイスで、立体地図上に現在位置や過去の経路を投影することができるものです。立体地図は、国土地理院が公開している地形の3Dデータを利用し、3Dプリンタを使って出力して作成できます。平面地図では感じにくい、地形の起伏や勾配を実感値として把握できるデバイスです。

モノにインターネットをつなぐと、色々な機能を付与できます。しかし、なんちゃらウォッチのように、アプリで色々なことができるがゆえ、気づけば「結局これは何に使うんだっけ?」ということになることも。つまり、不必要な多機能性は、モノとしての魅力を奪ってしまうことにも繋がってしまいます。

その点このデバイスは、GPSによるリアルタイムの「位置情報の可視化」に機能を絞り込み、「どう可視化するのか」を立体地図で実現したことで、新しい体験を生み出しているのです。

立体図を手に持って「この傾斜やべーなー」なんて言いながらシミュレーションすることは、あるようでなかった、とても楽しい体験です。

たった一つの機能をインターネットで拡張していくことで、グッと体験が豊かになっていく。立体図もインターネットからデータを取って好きな場所や形を出力できるし、GPSを使っていま自分がどの地点にいるのか直感的にわかる。なんでもできてしまうIoTの世界に求められているのは、まさに、「Less is more」の精神なんだと思います。

【Internet of Things】Geoph

GPSで現在地を取得し立体図上にLEDで表示される。この「Geoph」は、大阪のメーカーでデザイナーとして勤務し、休日に作品制作を行っている三田地博史氏が、デザインからプロトタイピングまでひとりで行い開発した

 

Geoph専用のWebアプリを使えば、国土地理院の地図データから、好きなエリアを好きなサイズで3Dプリントできる

 

ナビゲーター:神谷憲司
Creative Director/Creative Technologist (株)WHITE 代表取締役。(株)スパイスボックスで「プロトタイピングラボWHITE」を立ち上げた後、今年4月にはIoT企画会社となる(株)WHITEを設立。文化庁メディア芸術祭グランプリ、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル銅賞など、国内外の広告賞受賞歴多数。 http://255255255.com/

掲載号

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