ユーザーリサーチの心得|WD ONLINE

WD Online

特集一覧 Web Designing 2020年6月号

ユーザーリサーチの心得 目的なくして調査の意味はない!

このパートでは、企業(本誌の読者)が実際にリサーチを行うためのコツを伝えていきます。成功する調査を実現させるために必要な心得や考え方を、「リサーチの目的」「調査の方法」「設問の作成」「調査結果の活用」と、段階を追って解説していきます。

1.リサーチ前に課題を見極めよう

例えば、自分たちの会社で扱っている商品分野に対して、人々がそのカテゴリの商品をどれくらいの頻度で買うのか、どんな基準で商品を選ぶのか、どのようなメディアに触れて新商品を知るのかなど、ユーザーの消費・購買動向を知りたくなることがあると思います。しかし、特定分野のリサーチ結果が運良く手に入ることは稀。欲しいデータは、自社でリサーチする必要が出てきます。ここでは、何らかのリサーチをしたいと考えている皆さんに向けて、まずはどのようにリサーチをすれば良いのかといった情報や、上手なリサーチを行うコツをご紹介していきます。

「リサーチを行う上で最初に考えておくべきは、自分たちの抱えている課題を整理することです」

そう教えてくれたのは、株式会社ネオマーケティングの杉山太一さんと加藤賢大さん。同社は、消費者一人ひとりの分析から導く価値創造を重視し、インターネットリサーチをはじめ、グループインタビューや訪問調査などさまざまなソリューションを提供しているマーケティング支援会社です。

課題というのは、例えば、既存商品の売り上げが伸び悩んでいるので改善したい、広告や販促物の表現を練り直したい、新しい市場を開拓したいなど、リサーチの背景といえるものです。課題をハッキリさせることで、その課題を解決するために有効なリサーチ手法や設問が見えてくるといいます。

「リサーチをせずにビジネスの施策を行っても、それは勘に頼ったものになりがちです。リサーチをせずにビジネスを考えることは、いわば『地図を持たずに海に出ていくようなもの』といえるのではないでしょうか」

あるアパレルのショップで売り上げが減った原因をリサーチしたところ、そもそも狙ったターゲットが最初から来店していなかったことが判明した…というケースもあったそうです。そのケースでは、リサーチ結果を元に広告チャネルの見直しやメッセージの練り直しなどを一から行なったそうですが、思い込みでビジネス施策を行うことのリスクを示す、1つの好例だといえるのではないでしょうか。

 

2.調査の方法を考えよう

リサーチを行う上で考えられる手法は、いくつかあります。自社でSNSやWebメディアを持っている場合は、そこからアンケートに誘導するのも一つの方法ですし、自分たちで街頭アンケートを行ったり、イベント会場などで対面アンケートを行うといった方法も考えられます。また、調査会社に依頼する場合でも、インターネットを利用したネットリサーチや、ターゲットを特定の会場に集めて回答してもらう会場調査、郵送による調査、少人数でのグループインタビューなど、いろいろな方法があります。

それぞれにメリットとデメリットがありますが、まず考えるべきは、自社の力だけで調査するか、調査会社を利用するかではないでしょうか。確かに、自社メディアを活用して自分たちで設問を用意すれば、調査コストを抑えられるメリットがあります。しかしその場合は、まず十分な回答数が集まるかどうかが課題になるでしょう。

また、自社メディアでアンケートに答えてくれる人というのは、商品やブランドに対して好意を抱いている人が大半であり、ブランドの悪い点などの意見を抽出するのが難しいという側面があります。加えて、そのブランドから離れてしまった人の声を聞けないというのもデメリットです。

一方、調査会社の調査であれば、こうした自社メディアの限界もクリアできます。自社ブランドのファンだけでなく、競合ブランドのファンの声も聞けるのは大きなメリットになるでしょう。

なお、リサーチの手法には大きく分けて「定量調査」と「定性調査」という2つの手法があります。定量調査とは、インターネットリサーチなどで回答結果を「量」として捉える調査のこと。スピーディに実施できる点やユーザー動向を「量」として分析できるのがメリットですが、用意した設問以外のことは聞けないのがデメリットです。

一方の定性調査は、インタビュー調査などを通じてユーザーの意見を深掘りできる調査手法です。例えば既存商品の売れ行き改善が目的の場合、なぜ伸び悩んでいるのかは定量調査ではなかなか見えてきません。定量調査と定性調査の両方を組み合わせて調査することで、より改善に役立つ調査結果が得られるようになります。

01 調査手法ごとのメリット・デメリット
リサーチの種類はいくつかあり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。特徴を把握して使い分けましょう。

続きを読むためにはログインが必要です。
マイナビBOOKSの「WD Online全文購読サービス」(有料)をご利用ください。

マイナビBOOKSへの新規会員登録もこちらから。

定期購読者はオンライン版が読み放題 !!
雑誌『Web Designing』の定期講読者には、
WD Onlineの全文購読サービスを無料でご提供しています。
詳しくは「定期購読のご案内」をご覧ください。

掲載号

Web Designing 2020年6月号

Web Designing 2020年6月号

2020年4月17日発売 本誌:1,560円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

緊急特集【テレワーク】/世界のリサーチ結果をプレゼンやビジネスの武器にしよう!

サンプルデータはこちらから

■■■■■■■■■ Web Designing 6月号(4月17日発売)特集 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【緊急特集】テレワーク
リモートワーク・ビデオ会議の質を高めるための実践テクニック


世界の大規模なリサーチデータを集計して徹底分析!
Webビジネスの最新動向

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

<概要>

--【テレワーク】-----------------------------------------------------------------------
・リモートワークが余儀無くされる状況下、何からどう取り組めばいいか困っている人へ、
 企業として長くリモートワークに取り組んできた2社のノウハウを紹介。

・どんな機器、ツール、体制がおすすめ?
・円滑に、質の高いリモートワークを実現させるための実践ポイント



-【Webビジネスの最新動向】-----------------------------------------------------------------------
・公的機関をはじめ民間企業の独自調査など、90以上の世界中のリサーチ結果を見やすく整理。
 社内外の提案などで参考資料として使える資料集。

・ツール選定などの参考資料にもなります。

・リサーチ結果から各業界のプロが現在~近未来の潮流を優しく解説。

・Webマーケティング編(マーケティング全般、SNS、動画、ECなど)
 最新テクノロジー編(AI、RPA、IoT、VR、5Gなど) 
 採用&働き方編(テレワーク、採用、キャリア育成、組織改革など)
 
・目的なくして調査の意味はない! ユーザーリサーチの心得
・「調査屋」ではなく「戦略パートナー」にする! プロにリサーチを依頼するメリットとは?

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【Web Designing 6月号を読んだメリット】

・いますぐリモートワーク、Web会議などを整備するために必要な現場のノウハウがわかる
・リモートワーク、Web会議をより快適に行うための機器やツール、運用体制の参考になる

--------

・提案・プレゼンの根拠づけなどに使える
・ツール導入などの選択基準として使える
・Webビジネスの技術・働き方の潮流が把握できる
・ビジネスの最新動向を系統立てて把握できる
・リサーチ結果の数字を読み、自分のビジネスに活かせるノウハウが身に付く
・効果的なリサーチ方法、アンケートの設問の作り方などがわかる



【こんな悩みを持つ方にオススメ!】
■大事なビジネス方針を決めるのに、たった1つの調査結果だけで大丈夫かな…?
■プレゼン資料を作るのに、色々なデータをかき集める時間がない!
■マーケティング手法もテクノロジーも目まぐるしく変わっているけど、今のポイントを知りたい
■リサーチが必要なことはわかっているけど、そんな予算もないし何をしていいかわからない
■決裁者に提案を通すために効果的な数字やその見せ方が知りたい

など