ソニーの「Stories」が実現する最適な動画コミュニケーション|WD ONLINE

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ソニーの「Stories」が実現する最適な動画コミュニケーション 使命は全世界にブランドイメージを伝えること!

ソニーのブランドコミュニケーションを体現するWebサイト、ソニーの「Stories」。最適な動画コミュニケーションのために考え抜かれたUXや仕組みについて、本施策を統括したソニーの谷本尚遂さんと、サイト構造を開発したベースメントファクトリープロダクションの北村健さん、石谷亮さんに話をうかがった。
Photo:五味茂雄(STRO!ROBO)

左から
(株)ベースメントファクトリープロダクション
CEO 北村 健さん
COO 石谷 亮さん
ソニー(株)ブランド戦略室 室長
谷本尚遂さん

「ソニーの挑戦の姿勢」が伝わる動画をグローバルに届けたい

ソニーの「Stories」(以下Stories)は、ソニーのイノーベーションとチャレンジを伝えるためにつくられたグローバル対応のWebサイト。2016年、ソニーが創業以来大切にしてきたチャレンジ精神を伝える目的で、もともとは社内ブランディング用に制作していた動画を、一般のお客さまに届けるために、全面的なリニューアルが計画された。

「以前テキスト中心で社内向けの記事からスタートしたコンテンツを一般向けの動画ブランディングコンテンツにして、グローバルに展開していきたいと考えたわけです」(ソニー・谷本尚遂さん)

通常のプロダクトマーケティングの文脈や、ビジネスにおける規模の論理で進む話とは別に、ソニーが脈々と大切にしてきた思想が息づく内容や社員一人ひとりの情熱が伝わるコンテンツを訴求したい。そのコアとなる動画を、より多くのユーザーが見たくなるサイト設計と開発を行いたい。しかも国内だけでなくグローバルで快適なUXを目指すことが、ソニーが当然求めたいことであった。

白羽の矢が立ったのがベースメントファクトリープロダクション(以下ベースメント)。デジタル黎明期からの国内屈指のプロダクションが開発を進めると、2017年のリニューアル公開後、1セッションで複数の動画を見てもらえることを目標としていたが、効果測定をした結果、そのゴールを大きく達成することになる。

Storiesの構造は、ソニーのコーポレートサイトでも実装されることになった。

 

表面的な数値を追いかけない本質を追求できる目標を設定する

着目したいのが、ソニーのゴールが何を指すのか。実行できた開発の原動力には、理にかなった目標の存在がある。PVやUU、完全視聴率、再生数など、サイトや動画を巡るわかりやすい指標はあるにはあるが、それらはどれも規模の論理で読み解きやすいだけだ。ソニーが目標としたのは、「1セッションで2つ以上のコンテンツの完全視聴」。1本あたり平均5分前後の動画に、かなり高いハードルを設けていたのだ。

「短い動画ほど完全視聴率がよくなるのは自明です。30秒と5分を比べたら30秒が見られやすいけれど、Storiesが求めるのは、ソニーが持つ多様性や熱い想いを動画で伝えること。30秒では表現しきれない世界観をグローバルに向けて発信し、成果も出したいのです」(谷本さん)

ベースメントは根本的に動画のあり方を徹底研究し、最適な動画体験を模索した。

「辿りついたのが、スクロールすると次のコンテンツが出てくる回遊導線の確保や、指定した動画の右ペインに関連度が高いおすすめ動画候補の表示を実装したり、簡潔でパッと見で確認しやすい動画の説明テキストの用意でした」(ベースメント・石谷亮さん)

「スクロールごとに出てくる“動画+テキスト”に別々のHTMLとURLが割り当てられるようにして、自然に次のコンテンツをおすすめしつつも、SEO対策も万全なものになっています。必ずしもメーカーや製品名がわかっていないユーザーでも自然検索から流入が期待できつつ、さらにサイト内で回遊する構造にしたわけです」(ベースメント・北村健さん)

本事例はスケールの大きさが先立つが、組織のありようと成果の両面を追求する、学び多き事例でもあるのだ。

 
Stories
“Sony's Innovations & Challenges” ソニーが手がける商品やコンテンツ、サービスのそれぞれには、情熱にあふれるストーリーがある。Storiesは、クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす挑戦を続けるソニーの今に迫る動画シリーズである

掲載号

Web Designing 2019年8月号

Web Designing 2019年8月号

2019年6月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

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