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【潜入企画】大学将棋部に行ってみた ~早稲田大学編~

2015.08.20 | 島田修二

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皆さんこんにちは。
編集部の島田です。

本日はこれまでにない画期的なお出かけ企画をお届けします。
その名も「大学将棋部に行ってみた ~早稲田大学編~」。

大学将棋って、経験された方はよく知っていますが、中に入っていない人にとっては結構得体の知れない世界ですよね。
かく言う私も大学将棋を経験していない人間の一人です。

と、いうわけで大学将棋部の実態を探ってみようと思い立ち、ひらめいたのが今回の企画。

大学将棋部と言ってもたくさんありますが、手始めに今回の将棋年鑑制作に当たって大学将棋の結果などを手配していただいた現・日本学生将棋連盟代表の早稲田大学将棋部、高橋海渡さんにアタックしてみましたところ、快くOKしてくださいました。

初夏のある日、東西線早稲田駅に降り立った私。将棋部の部室は事前に教えていただいたんですが、当然のように校舎を間違え謎の銅像(大隈重信?)にごあいさつ。



ようやくたどり着いた将棋部の部室。
そこに待っていたものとは??

では、マイナビ将棋情報局、大学将棋部潜入企画の始まり始まり。

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―今日は宜しくお願いいたします。
高橋「宜しくお願いします」

―まずは早稲田大学将棋部の普段の活動内容から教えてください。
「決まった活動というのは実はあまりなくて、土曜日に研究会をしているくらいです。普段は空いた時間に各自部室に来て研究したり、将棋を指しています」

―あ、そうなんですか。適当に集まって、対局相手が見つかったら将棋するみたいな?
「そうです。もちろん誘い合わせてくる人もいますが、基本的には適当ですね」

―みんなで時間を決めて集まって、今日はリーグ戦やろうぜー、トーナメント戦やろうぜーみたいな感じではないんですね。
「そうですね、ただ順位戦というものがありまして。全員が参加するリーグ戦なんですが、それは少しづつ進めています。この結果を団体戦のメンバーを決める参考にしています」

―(リーグ表を見て)なるほど。たくさんの名前がありますね。現在部員は何人くらいいるんですか?
「1学年が10人ちょっとなので、全部で50人くらいですかね」

―50人もいるんですか! ちなみにその土曜日の研究会には何人くらい来るんですか?
「10人~20人くらいですね。13時からやっています」

―わざわざ土曜日に出てくるなんて偉いですね。
「うーん。暇な人が多いんですかね(笑)」

―他にイベントや合宿などはされていますか?
「合宿は年に2回やっています。ほとんど将棋漬けになりますね。そのときに常識テストを全員でやるというのが恒例行事になっています。時事問題などの常識テストを高校入試などから持ってきて合宿に参加した人全員で解くんですが、これで最下位になると『非常識王』の称号が与えられます(笑)」

―それは面白いですね。ちなみに現在の非常識王はどなたですか?
「リーグ表でA級の上位にいる子です。だいたい将棋に強い人が非常識王になるんです」


※部室と高橋さん

―最近の部内での流行はなんですか?将棋のことと、将棋以外のことでお願いします。
「将棋の流行ですか。難しいですね。私の印象だと、袖飛車が目立っているように思います」

―袖飛車!?
「はい。やっている人は一人しかいないんですけど(笑)。彼の部室への出現率が非常に高いので、袖飛車が妙に市民権を得た戦法になっています。対居飛車には3筋の歩交換を狙って、対振り飛車には飛車の力で局面を収めて堅く囲って、あとは自分のほうが経験値が高いから勝てるはず、というのが彼の理論みたいです。
実はこの戦法を前の主将が学生王座戦で立命館相手に採用しまして。とりあえず自分の土俵に持ち込むという意味では優秀な戦法かもしれません。学生将棋らしいというか。私も前の主将に指されたことがあるんですが、負かされてしまいました」

―部全体としてはどういう戦法を使う人が多いですか?
「横歩取りや角換わりのような最新形を追っている人はあまりいないように思います。自分独自の型を持っていて、中盤まで何とか乗り切って終盤勝負、というタイプが多いですね」

―将棋以外の流行はどうですか?
「自分はあまりやりませんがカラオケは、はやってますね」

―カラオケですか。
「はい。採点機能ってありますよね、あの点数をあげるために必死に頑張っている人たちがおりまして(笑)。よく点数勝負してるみたいです。自分のマイクを持っているひともいますし

―マイ・マイクですか。
「はい。卒業されて、今社会人1年目の先輩にカラオケが好きな方が多くて、後輩の何人かがそれを引き継いでいる、という状況です。カラオケにひと月1万円以上使ったり、一人カラオケに行ったり・・・」

―すごいですね。
「『富士の山』とか童謡なんかが点数を取りやすいみたいです。それうたって面白いの?という気もしないでもないんですが(笑)、勝負に徹するところは将棋部らしいな、と思います」

―次に他の大学と比べたときに早稲田大学ならではのことがあれば教えてください。
「そうですね。部員が多いので、応援の数は他の大学より多いかなと思います。関東の大学では今一番多いかもしれません。四日市で行われる学生王座戦にも30人規模で行きますし。選手として出場しない人も他大学の選手の得意戦法をチェックしたり、勝つために必要ないろいろな情報を集めて来てくれるのでありがたいです」

―他大学ではすごく熱血な将棋部もあるようですが、早稲田の部のカラーはどうですか?
「和気あいあいとやっていると思います。先輩が厳しく言ってくることもありませんし」

―広瀬八段も何も言ってこないですか(笑)
「全然ないです。現役のやりたいようにやらせていただいていると思います」

―他の大学で意識しているところはありますか?
関東で言うとやっぱり東大さんですかね。今は2強とは言えないほど他の大学さんとも力が拮抗していますけど、これまでは関東から全国に行くのは東大と早稲田、ということが多かったですから、関東ではやはり東大さんですね。
全国にまで話を広げるとやはり強豪の立命館さん、あと、うちはなぜか京大さんと相性が悪いんです。毎回痛い目に遭っているんで個人的には京大さんはかなり意識しています」

―なぜ相性が悪いんですか?
「なんでですかね?クセモノ同士が当たるからでしょうか。東大さんや立命館さんは将棋がしっかりしてらっしゃるんで、こちらのかき乱し作戦がうまくいきやすいんでしょうけど、京大さんにはそれが通用しないんですよね。それ以外では名城大さんでしょうか。ここ1、2年で急激に強くなったように思います」

―最後に今後の部の目標についてお教えください。
「団体戦での勝ち、ということですね。全国優勝を目標にしてやっています。2年前の秋の大会で優勝できまして、去年は準優勝だったんですが、今年の春の大会でタイトルを逃してしまいまして。秋以降頑張っていかないといけないなと思っています。学生将棋をやっている人は学生王座戦という秋から冬にかけて行われる大会が大きなモチベーションになっています。一年間の集大成という意味もあって、そこでの全国優勝が一番の目標ですね。富士通杯という春の大会を逃したのは痛かったんですが、秋に取り返せればいいかなと思って、今はやっています」

―なるほど。秋の大会での活躍をお祈りしております。今日はお忙しい中ありがとうございました。
「こちらこそありがとうございました」

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このあと高橋さんと記念に一局将棋を指しました。私は嬉野流で挑んでいい勝負になったんですが、将棋の元々の力が違いすぎたため、あえなく敗退となりました。

「大学将棋部に行ってみた~早稲田大学編~」は以上です。みなさんどうでしたか?
秋の大会での早稲田大学の成績に注目したくなりましたね?

潜入してみた私の感想は、大学将棋部以前に、大学生っていいなと(笑)
久しぶりにあのまったりした空気感を味わってノスタルジーに浸ってしまった自分がいました。

ちなみに、このあと他の大学に行くかどうかは全くの未知数です。期待しないでお待ちください。

ご協力いただいた早稲田大学将棋部の皆さん、そして高橋さん、ありがとうございました。


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