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週刊将棋

雨宮編集長のコゴト@あれから4年

2015.03.14 | 週刊将棋編集部

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いつまで編集長を続けるかは分からないが、いつかはやめるときが来る。そのとき、就任中に一番印象に残った号は?と聞かれたとしても、答えはもう決まっている。

「2011年3月16日号」

同年3月11日に発生した東日本大震災の中で制作・発行した号だ。偶然にも来週発売の3月18号と同様、棋王戦第3局と王将戦第5局が掲載されている。マイナビ女子オープンの挑戦者になった上田初美のインタビュー、リコー杯女流王座戦の創設記者発表会など、華やかな記事も多かった。

震災が発生した11日は金曜日。その当日の記事は順位戦B級1組の最終戦くらいだったので、翌日の土曜日印刷に向けての追い込みも、比較的余裕があるはずだった。それが一転して、発行できるかどうか分からなくなったのだ。
エレベーターが停止したビルの中で、編集部のある6階からDTPと校正・校閲の作業部屋がある地下2階まで、何度も往復した。夜食を求めて神保町をさまよった。余震が続く夜を明かした会社の中で、被災地の惨状を伝えるテレビに目が釘付けになった。
いくつかの幸運が重なって、印刷までは通常通りできたものの、配送はとてもおいつかなかった。

振り返ってみれば、この程度のことだった。ただ、その時は何がどうなるか分からなかった。同規模かそれ以上の揺れにもう一度襲われたら、果たして無事だっただろうか。

会社の他の部門は、ほぼすべてが業務を打ち切った。私は部下に作業の継続を指示し、当日の取材担当記者を徒歩で将棋会館に行かせた。そんなことをしてよかったのか。間違った判断だったという思いは、日が経つにつれ強くなっている。