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下村記者の棋楽にいこう 第35手 定跡が新たに更新

2015.01.20 | 

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 皆さんこんにちは。週刊将棋の下村です。王将戦七番勝負が開幕しました。新春のタイトル戦としてすっかりおなじみとなった掛川城対局ですが、3日間とも青い空が広がり天気に恵まれました。

 結果は既報の通り渡辺王将が角換わり腰掛け銀の定跡手順から、あっと驚く新手を出して快勝しました。この戦型はここ1~2年で定跡が劇的に進化しつつありますが、また新しい定跡が更新されたといっても過言ではないでしょう。

 古くは木村定跡から端を発し、少し前までは玉を入城しない同形腰掛け銀は富岡流の出現で先手良しが定説になりました。そこから日進月歩で進化が加速します。後手は同形を避けて金を上下させて待機策で待つ形が増え、先手が4八飛型から仕掛けてやれるのではと研究。最近では後手の対策も進み先手も仕掛けが難しいというのが現状と認識しています。

 そこに、先手は仕掛けないでさらに固めてどうか?とテーマを突きつけたのが本局の渡辺王将で、先手にとって快勝譜が出来上がりました。今度は後手に戦える順が出てこないと、角換わりの待機策は苦しいということになります。指す将棋ファンはそんなことを考えながら、タイトル戦を観戦するというのも楽しめるのではないでしょうか。第2局以降も現れる戦型かもしれないので、注目したいと思います。

 さて、話は変わりますが掛川城恒例の戦国武将のコスプレ。今年ももちろん盛大に撮影会が行われました。渡辺王将はすでに楽しむ境地のようですし、郷田九段も戸惑いながらも兜をかぶっていました。ちなみに真ん中のゆるキャラは「茶のみやきんじろう」くんです。