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村山聖、奇跡の逆転昇級と森内26連勝の光と影

2014.09.10 | 

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「将棋順位戦30年史 1984~1997年編」が9月25日に発売されます。

 
「順位戦をまとめた本と言っても、どうせA級最終日だけじゃないの?」
 
と思っている方もいると思うので、声を大にして言います。
 
C級2組まで収録してます!

しかも!
昇級降級に関係ある対局だけでなく、若手(※当時)の注目局も特集組んでます!

当時若手ということは、ちょうど今は第一線でバリバリ活躍中ということになります。
というわけで、A級の紹介は先輩に任せるとして、今日はA級以外のページを公開します。
 
まずは個人的に気に入っている、ある年のB級2組最終戦のページ。
 
 
この年は序盤から、森下森内「モリモリコンビ」(←本当に記事にこう書いてあります)が全勝で突っ走り、2戦目で敗れた村山先生はその後勝ち続けるも、ずっと他力。
村山先生は昇級後のインタビューで「そのうちに全部勝っても上がれそうもなくなってきたんで、まずいと思ってました」と答えています。
それくらい、「モリモリコンビ」の強さは圧倒的で、直接対決を残していない村山先生は1敗しかしていないのに昇級絶望という不思議な展開でした。
 
ところが、ラス前に森内先生がまさかの敗北。
最終局、ついに自力昇級の権利を得て、順位1枚の差で奇跡の逆転昇級となったわけです。
 
ちなみに私がこのページで特に気に入っているところは、
・左上に桐谷先生がかなり写り込んでいること
・左下、来期の目標を聞かれた村山先生の
「降級しないことです…。今度はB2と違って降級点じゃないんで…」
というコメントです。
 
タイトル戦30年史でも思いましたが、村山先生の飾らないコメントは基本的に面白いです。
 
若手注目局からはこの記事に関連して森内先生の熱局を。
 
 
森内先生といえば、名人戦
またはA級順位戦でとにかく強い
皆さんそういうイメージを持っていると思います。
実は最近に限らず、元々若手のころからめちゃくちゃ順位戦に強いんです。
 
それが真ん中、「森内、新記録樹立」の記事です。
 
新記録というのが、「順位戦22連勝」。
とんでもない数字です。
新記録樹立後、この連勝記録はさらに26まで伸びました。
 
しかし連勝もいつかは止まります。
 
この連勝が止まった対局というのが、上で書いたラス前の1局、画像左下の記事です。
 
26連勝しても、順位1枚の差で頭ハネ。
これが順位戦の厳しさであり、この真剣勝負の厳しさが、将棋ファンのハートをわしづかみにしているのでしょう。
感動や熱狂の裏側には、ドラマがある。
だから将棋は面白いんだと、あらためて考えさせられました。
 
厳しいからこそ、面白い。
本書はそんな順位戦の世界をどっぷり堪能できる一冊です。
ボリュームは保証します。
616ページ、隅々まで味わい尽くしてほしいと思います。