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AmazonよりもAppleが勝利した理由

Appleが時価総額1兆ドル達成なぜ一番乗りできたのか?

文●松村太郎

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好調だった2018年第3四半期決算(4~6月)を受けて、Appleは8月2日、米国企業として初めての「時価総額1兆ドル」を達成した。これまで、Amazonが一番乗りをすると見られていた「1Tレース」(Tはトリリオン、兆)に、Appleが勝利した理由について探っていこう。

 

決算から見る現在のアップル

アップルの2018年第3四半期決算は、売上高532億6500万ドルで前年同期比17%増となった。北米20%増、中華圏19%増、アジア太平洋地域16%増と、各地域で二桁成長を記録した背景にはiPhoneの好調さがある。

第3四半期のiPhoneの販売台数は4130万台で前年同期比1%増、アナリストの予測には届かなかったものの、売上高は299億600万ドルで前年同期比20%増となった。例年9月が近づくにつれて、併売している廉価モデルの販売が伸びる傾向にあったが、今年の第3四半期では2017年モデルのiPhone 8の強さが目立ち、iPhone X、iPhone 8プラスが日・米・英の先進国で3機種とも販売トップに入るなど、モデル末期の現行機種が好調だった。結果的に、端末の平均販売価格は724ドルと、前年同期の606ドルを大きく上回ったことから、同じ販売台数でもより高い売上高を記録することができた。

iPhoneの好調さは、サービス部門、その他の製品部門にも波及している。サービス部門は95億4800万ドルで前年同期比31%増。また、その他の製品はさらに高い成長率を示し、売上高37億4000万ドルで37%成長となった。特にアップルウォッチ(Apple Watch)は40%中盤の成長率を記録しており、エアポッズ(AirPods)、 ビーツ(Beats)製品を含む「ウェアラブル」製品は前年同期比60%増だった。

iPhoneそのものの圧倒的な収益力と、これに付随するハロー効果によって、アップルがスマートフォンメーカーとして世界で一人勝ちをしていることが投資家にポジティブに受け止められている。言い方を変えれば、エレクトロニクス企業で他の企業に投資する理由が見い出せなくなっている、と指摘することもできる。

 

スカリーの金言

7月31日に発表された第3四半期決算を受けてアップルの株価は上昇を続けた。現在の発行済み株数から計算して、時価総額1兆ドルに到達する207・05ドルを8月2日に突破し、米国企業初の時価総額1兆ドルを達成した。その後も株価は上昇を続けており、夏枯れ相場やトルコショックの影響を受けず、米国時間8月17日時点で217ドル台を維持して引けている。

ブルームバーグによると、アップルのティム・クックCEOは従業員向けのメールで、めざましい成果を祝しつつ、顧客やサプライヤー、開発者などへの感謝と、会計的な結果が成功を表すものではないとのメッセージを送った。

米国ではさまざまな著名人がアップルの1兆ドル達成についてコメントを寄せているが、中でも興味深かったのがジョン・スカリー氏。同氏は1983年から1993年の10年間、つまりスティーブ・ジョブズ氏不在の大半の期間、アップルのCEOを努めた人物だ。

スカリー氏はCNBCからのインタビューで、「ジョブズは顧客からのロイヤリティを獲得し、クックは投資家からのロイヤリティを獲得した」と、アップル1兆ドル達成について指摘した。すなわち、ジョブズ時代にアップルは、ビジョンとそれを体現する製品を通じて、顧客の支持を得てきた。クック氏はそのビジョンと顧客の支持を引き継ぎながら、株主や投資家からの厚い支持を獲得したというのだ。

 

著名投資家が惚れ込む

現在のアップルの主力製品であるiPhone、iPad、Macは2011年以前、つまりクック氏がアップルのトップを引き継ぐ前に作られた製品であり、iPhoneがあらゆる生活の核となるビジョンも、ジョブズ氏がMacにおける「デジタルハブ構想」をモバイル時代に合わせて拡張したものと位置づけることができるし、サービス部門、ウェアラブル部門のハロー効果も、iPodを活かしたアップルのブランド力向上を洗練したものだ。

クック時代のアップルは、iPhoneの成長によって劇的な収益力の向上と手元資金を背景に、配当や自社株買いを通じた株主に対しての還元を強めている。このことがアップル株の買いの背景にあるだけでなく、著名投資家をファンに変えることに成功している。

米国でもっとも著名な投資家の1人であるウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイは、2016年からアップル株を買い進めており、すでに第3位の株主となった。しかもバフェット氏は「100%保有しても良い」と言うほど惚れ込んでいる。また、こちらも著名投資家のジョージ・ソロス氏のファンドも、アルファベット(グーグルの親会社)やアマゾンの株を売却し、フェイスブック、ツイッターとともにアップル株を取得した。




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