2017.10.11
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これまで使っていた携帯電話番号を引き継いで別の通信キャリアに乗り換えられるのが「ナンバーポータビリティー(MNP)」という制度。キャリア選択の自由度が増えるのが一番のメリットだが、2016年はMNPの利用者が大幅に減ったという。その理由はどこにあるのかを考察してみた。
契機は「実質0円」の規制
2017年8月16日付けの朝日新聞に「番号変えない携帯会社の乗り換え、利用数24%減」という記事が掲載された。
記事の内容は、2016年度におけるナンバーポータビリティー(MNP)の利用件数が、前年度比24・5%減の468万件だったというもの。この記事の情報源は、2017年8月4日に総務省が発表した「電気通信番号に関する使用状況の公表(平成28年度)」の報告書だ。同紙ではこの理由を、2016年4月に総務省が「実質0円」といった端末の安売りを規制した影響だと分析している。
しかし筆者は、規制によってMNPの利用者数が減ったというより、これまで異常なキャッシュバックキャンペーンで増え過ぎていたMNPが、規制をかけたことで適正レベルに戻っただけではないかと感じている。さらにいえば、携帯電話のユーザが電話番号に固執し続ける理由が希薄になったことも、MNPを利用しなくなった原因の1つだと考えている。
フィーチャーフォン全盛期、自分の電話番号を変えた際には知り合いに新しい番号を通知するのが当たり前だった。しかし、日本でiPhoneでは、アップルIDによってメッセージのやりとりが可能になり、電話番号がわからなくても連絡を取り合えるようになった。その結果として電話番号やキャリアメールの存在意義が希薄になり、キャリアの乗り換えによってこれらの情報が変わってしまうことに対して、多くの人が抵抗を持たなくなったのではないだろうか。
加えて、現在はLINEや、フェイスブックメッセンジャー、スカイプ、ウィーチャット(WeChat)などのメッセージングツールや、バイバー(Viber)などのVoIPアプリが普及したことも、電話番号に固執する人が減った理由だ考えられる。