2016.03.31
Apple製品のビジネス活用に詳しいモビリティ・エバンジェリストこと、福田弘徳氏のコラムです。
2017年4月より「消費税軽減税率」が施行される。小売業においては、複数の税率に対応することからさまざまな対策が必要になる。その1つにレジがある。現在導入しているレジが8%と10%の両方に対応しなければならない。大規模チェーンやフランチャイズの店舗では、POSシステムの変更で対応できるかもしれない。しかし、中小企業や個人経営の店舗では、導入しているレジをリプレイスすること自体が困難なケースも多い。
そこで、店舗向けレジの更新・改修に関して、経済産業省が996億円の補正予算で支援を実施する。このタイミングで、レジのリプレイスが爆発的に加速すると思われる。特に最近ではiPadを使ったレジやオーダーエントリー、予約管理、受発注など、店舗の業務にiPadが使われるケースが増えており、iPadを使ったモバイルPOSの普及に拍車がかかるだろう。
しかし、iPad+POSアプリを単に入れれば済むという話ではない。導入しようとすれば、大きな業務プロセスの変更が求められるだろう。
たとえば、各店舗からの受発注のほとんどをファクスで行っているという小売業は数多くある。また、昔ながらの帳票を使った発注作業が定着しているケースもある。当然、ファクスや独自の帳票で送られてきたものはシステムに手入力していくわけだが、商品点数が多くなればなるほど負担は大きくなる。さらに、場合によっては商品名とコードが異なっていて、その都度電話で確認しなければならないこともある。
このようなケースでiPad+POSアプリを使って電子化すればこれらの問題は一挙に解決しそうだが、一方で新たな問題を引き起こす可能性もある。たとえば、個人経営の小売店にとっては、重要な情報がメールで送られても店頭に出ていると気づけず、ファクスのほうが確実な場合がある。つまり、こうした現場に突然iPad+POSアプリを導入したところで、成功する可能性はゼロに近いということである。