MacBook活用の極意❷【freee株式会社】|MacFan

SPECIAL SPECIAL

働く人のMacBook活用術1

MacBook活用の極意❷【freee株式会社】

文●山田井ユウキ写真●黒田彰

スタートアップ企業ではMacを利用する人が多くいます。MacBookをどのように使い、仕事の生産性や効率性を高めているのでしょうか。

 

 

freee株式会社

【URL】http://www.freee.co.jp

 

 

山本伶さん Rei Yamamoto(左)/轡田哲郎さん Tetsuro Kutsuwada(右)

1年半前にfreeeに入社。ソフトウェアエンジニアとしてフロントエンド側を担当する(山本さん)。/株式会社リコーのエンジニアを経て、1年前に入社。現在はソフトウェアエンジニアとしてユーザを増やすためのグロースハックをメインに担当(轡田さん)。

 

 

プライベートもMac

MF●まずはお二人のお仕事内容を教えてください。

轡田●ソフトウェアエンジニアです。いかにfreeeをきちんと使いこなせているユーザを増やすかというグロースハックをメインに担当しています。

山本●僕もソフトウェアエンジニアです。freeeのフロントエンド側で、快適なユーザ体験を提供できるように使いやすさを追求するのが仕事です。

MF●お二人ともMacBookを使われていますが、こちらは会社支給ですか?

山本●そうですね。でも僕はプライベートでもMacBookを使っていますよ。これと同じ、プロの13インチを使っています。入社時にMacBookを支給してもらえると聞いたとき、キーボードは英字にしてくれと頼みました。

MF●こだわりですね(笑)。

轡田●私は前職の途中でウィンドウズからMacに変わりました。前職が精密機器メーカーで、社内では誰もMacを使っていませんでした。私自身ずっとウィンドウズだったのですが、5年くらい前にアプリの開発をするため、アメリカに2カ月ほど滞在したんです。そうしたら向こうの上司は元アップルのエンジニアだったんですよ。もともとアンドロイドアプリを作るつもりで行ったのですが、上司に「iOSアプリにしなさい」と言われて、そこからMacになりました(笑)。

 

 

打合せもMacBookで

オープンスペースにMacBookを持ち込んで打合せすることも多いそう。MacBook背面のステッカーがステキです。

 

 

自社サービスの恩恵

MF●普段MacBookでプログラミングに使っているソフトは何ですか?

山本●僕は「ビム(vim)」かな。

轡田●私は「アトム(Atom)」です。

山本●皆、自由なんですよ。「サブライム・テキスト(Sublime Text)」を使っている人もいます。

MF●プログラムするのにMacの使い勝手はいかがですか?

轡田●とても快適です。

山本●freeeのサーバはリナックスなのでフォントが違うとかの微妙な問題が出ることもありますが、ほとんど違和感なく使えていますね。

MF●ということは、ウィンドウズを使わないと困るということもありませんか?

山本●そうですね。強いていうなら、freeeではエクセルで作った会計データをインポートする機能があるのですが、そのテストをするときにウィンドウズ版のエクセルがないことくらいでしょうか。ただ、それも社内にあるウィンドウズマシンが使えますので、それで事足りています。ウィンドウズは使っていた当時のイメージが強いので、たまにウィンドウズ8をさわるとスタートボタンがなくて焦ったりします(笑)。

轡田●それでいうと、IE(インターネット・エクスプローラ)問題もありますね。政府が出している税務関係のフォーマットはほとんどウィンドウズでないと動かないんですよ。ですので、それをテストするときはやはり社内のウィンドウズを使っています。

MF●ウィンドウズベースの会社ですと、会計処理などの基幹システムにMacからはアクセスできないといった事情も多く、ウィンドウズを使わざるを得ない状況もあるようです。

轡田●うちは当然、社内の会計処理にはfreeeを使いますから問題ありません(笑)。freee自体がクラウドベースですから、自分たちがまずその便利さを受けている状況です。

山本●逆に弊社ではペーパーレスを推進しているため、紙の明細は出してもらえないんです(笑)。

 

 

freeeは面倒な会計業務を全自動で行うことができるクラウドサービス。銀行やカードのWEB口座とも連携し、個人事業主や中小企業の経理・会計・帳簿作成を大幅に効率化できます。現在、38万以上の事務所で導入されています。

 

 

ブラウザだけで作業ができる

MF●ほかにお仕事で使われているソフトを教えてください。

轡田●社内のコミュニーケーション用にチャットツールの「スラック」を入れています。これは全社員共通ですね。以前は「ヒップチャット(HipChat)」を使っていたのですが、機能やセキュリティ面を考えてスラックに移行しました。ここで社員向けに通知を流したり、雑談もしています。ほかには、「グーグル・アプス(Google Apps)」もよく使いますね。クラウドにこだわりのある会社なので、ブラウザだけあれば作業できるようにしています。

山本●グーグル・アプスの中でも特にグーグルカレンダーは社内で頻繁に使われます。登録した予定の前に通知が出せるので、忘れずにすみます(笑)。会議室の予定やほかのチームメンバーの予定を皆で共有し、編集できる点も便利ですね。それから、「ギャゾ(Gyazo)」というツールも役立ちます。起動すると画面範囲指定のカーソルが出現して、画面を切り取ることができるんです。切り取った画像にはURLが与えられるので、ほかの人と共有するのがとても楽なんですよ。あとは、キーコンフィグのために「カラビナ(Karabiner)」というソフトを入れています。これを使うとMacのキーを自分好みにカスタムできるので、たとえば僕は「;」を[エンター]キーにあてています。こうすると小指でエンターが押せるので、いちいちエンターを叩くのに手を移動させなくて済むのです。キーの連打スピードやカーソルスピードも変えられます。

轡田●エンジニアという点でいうと、情報共有ツールの「キータ・チーム(Qiita team)」を使っています。マークダウンで書けるところがお気に入りです。

山本●ブラウザベースのものが多いですよね。ちなみに自分はブラウザはグーグル・クローム(Google Chrome)を使っているのですが、入れておくと便利なエクステンションリストというのを作っていて、社内で共有していますよ。

 

 

Slackは社内連絡に使う

社員のコミュニケーションはチャットツールのスラックで。社員向けに通知を流したり、ときには雑談したりと使い方の幅は広い。

 

 

画像のキャプチャ&共有に便利な「Gyazo」

現在Macのディスプレイに表示されている画面の一部を切り出してWEBにアップロードできるギャゾ(https://gyazo.com/ja)。アップされた画像にURLが発行され、スラックに貼り付けることで簡単にほかの人と共有できるのが便利なのだとか。

 

 

「Karabiner」でMacのキーをカスタム

山本さんは、カラビナ(https://pqrs.org/osx/karabiner/index.html.ja)でキーボードをカスタマイズ。キーの反応速度まで変更しているそうです。

 

 

必携の分析ツール「KISSmetrics」

ユーザがどんな動きをしているのかを追跡できる分析ツールのキスメトリクス(https://www.interarrows.com/internet_data/kissmetrics/)を使うのは轡田さん。グーグル・アナリティクスとの違いは、「誰がその行動をとったか」にフォーカスしていること。

 

 

「あえて共有する」価値観

MF●クラウドとMacBookを活用すると、どこにいても仕事ができそうですが、お二人の働き方を教えていただけますか。どんな流れで一日を過ごすのですか?

山本●11時に全体の朝会があるので、その時間には来るようにしています。裁量労働制なので早い人はもっと早いですし、自分にあったペースで出社・退社をしています。子どもがいる人は家で仕事したりとか。

轡田●私も子どもの迎えに行かないといけないのでfreeeでの働き方は助かっています。今朝も子どもを病院に連れて行ってから出社しました。

MF●かなりオープンな職場という印象ですが、働いていてどんな会社だと感じますか?

山本●お互いの理解が深いと思いますね。仕事面だけではなく、あらゆる場面で理解し合おうとする気持ちが強い会社です。

轡田●弊社の価値基準の1つに「あえて共有する」ということがあります。何かあると「それ、あえて共有しようよ」となるんです。

山本●LGTM画像とかね(笑)。

轡田●そうそう。コードレビューしたときにLGTM(ルックス・グッド・トゥー・ミー)というメッセージを伝える画像を出すのですが、そこに社内の写真を使うんです。スラックに飲み会の写真なんかを誰かが載せて、気づいたらそれがLGTM画像に使われていたり…(笑)。

MF●(笑)。

轡田●オープンに働いていると、ほかの社員の家庭環境とか困っていることがわかるので、いろいろ融通できることもあるんです。あいつは何をやってるんだ?という不安もなくなりますし、結果として時間や場所にとらわれずに働けていると感じます。

MF●生産性も上がりそうですね。

山本●そうですね。無駄な仕事はしないという価値観もあって、会議なんかも無駄なものはやめようという話が出ています。一人で頑張るのではなく、できることはほかの人と分担しようとか、そういった合理的な面がありますね。

轡田●freee自体が合理的なツールというのがその大きな理由だと思います。

 

 

オープンな働き方はデスクから

立ちながら仕事をする山本さん。オフィスはよくある無機質な雰囲気ではなく、開放感があります。また、木製のデスクは暖かみがあり、社員が自由にカスタムして働きやすい環境を作っていることがわかります。