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ゲーム専用機ユーザーの「いま」と「これから」: 4 ゲーム産業をデータで読む

【第2回】第2章 ゲーム機によってユーザープロフィールはどれくらい違うのか

2016.08.05 | 光井誠一(株式会社ゲームエイジ総研)

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ゲーム専用機を所有している皆さんは普段どのようなプレイスタイルでゲームを楽しんでいるのだろうか。
もっぱらコンソール機(据え置き機)のみをプレイしている人、またコンソール機プレイヤーの中でも自分の部屋に置きパーソナルユース中心の人もいれば、リビングに置いて家族みんなでゲームを楽しんでいる人もいるだろう。逆に、家の中ではあまりゲームはやらず、基本的に外出中や移動中などにハンドヘルド機(携帯機)をプレイするという人もいれば、中にはコンソール機とハンドヘルド機を両方持っていて、家の中や外出中を問わずかなりの時間をゲームに費やしているというヘビーゲーマーの方も少なくないのではないか。

この章では、ゲーム専用機にスポットを当て、それぞれのプラットフォームをどのような属性のユーザーがプレイしているのかというデータを紹介する。対象にしたプラットフォーム(ハード)はコンソール機からPS3とWii、ハンドヘルド機からPSPと3DSのそれぞれ2機種をピックアップし、各プラットフォームのプレイヤー同士をクロス集計した。

集計軸としたのは、[性別][年齢別(5歳刻み)][IPS]の3属性である。([IPS]とは、当社が独自に開発した、いわゆるイノベータ理論に基づく「ゲーム先行性」に関する指標)
2機種のプレイヤーをクロス集計する際に、どちらか片方のみのプレイヤーと両機種ともプレイしている「重複ユーザー」の合計3グループのユーザーを母集団とした。それぞれのユーザープロフィールを確認することで、各プラットフォームのプレイヤーの“顔”がイメージしやすくなるだろう。

 

PS3は20歳前後の男性、Wiiは10代前半の男女が所有

 

 

【図1】PS3×Wii ・・・ コンソール機同士の重複状況
◇ユーザー全体では、PS3もしくはWiiを所有しているユーザーのうち、10%(91万人)が重複ユーザーとなっている。
◇男女比は、[PS3のみ]が86%:14%、[重複ユーザー]が83%:17%、[Wiiのみ]が57%:43%。Wii寄りになるほど女性比率が高まる傾向が見られる。
◇年齢別では、3グループで分布傾向が全く異なる。[PS3のみ]は20代を中心とした分布。[重複ユーザー]は30代後半くらいまではほぼ同規模のユーザーが存在する。[Wiiのみ]は10代前半が圧倒的に多く、40歳前後の世代(おそらく親世代)にもうひとつピークができている。年齢別の両機種構成比としては、全体的には普及台数で勝るWiiが多くの世代で多数派となっているが、20代ユーザーのみPS3のユーザーの方が多くなっている。重複率も若年ユーザーの方が高い。
◇IPS別でも3グループで全く傾向が異なる。[PS3のみ]はイノベータからマジョリティまでほぼ均等に分布。[重複ユーザー]は圧倒的にイノベーティブ傾向が強い。[Wiiのみ]は逆にマジョリティ傾向が強い。当然ながら、重複率はイノベータが最も高い。

 

据え置き機と同じく20歳前後の男性に好まれるPSPと、10代前半の男女に好まれる3DS

 

 

【図2】PSP×3DS ・・・ ハンドヘルド機同士の重複状況
◇ユーザー全体では、PSPもしくは3DSを所有しているユーザーのうち、12%(85万人)が重複ユーザーとなっている。
◇男女比は、[PSPのみ]が81%:19%、[重複ユーザー]は78%:22%でほぼ同じ、[3DSのみ]となると61%:39%と女性比率がやや高くなる。重複率はやはり男性の方が高い。
◇年齢別では、[PSPのみ]は20歳前後世代が中心。[重複ユーザー]は若年層ほど多くなっている。[3DSのみ]は10代前半ユーザーが突出して多く、その他の世代は40歳くらいまで比較的均等に分布している。年齢別の両機種構成比は、10代前半と30代後半から50代前半にかけて3DSの方が多くなっている他は、基本的に若年になるほどPSPのみユーザーの比率が高まる傾向が見られる。
◇IPS別では、[重複ユーザー]はかなりイノベーティブ傾向が強い。[PSPのみ]と[3DSのみ]もイノベーティブ傾向が強いものの、両者の普及(台数)に伴い、マジョリティもそれなりに獲得できている。よりマジョリティが多いのは[3DSのみ]。

 

男女比はほぼ同じでも、年齢層はPS3よりPSPの方が若い

 

 

【図3】PS3×PSP ・・・ ソニープラットフォーム同士の重複状況
◇ユーザー全体では、PS3もしくはPSPを所有しているユーザーのうち、17%(115万人)が重複ユーザーとなっている。コンソール機同士やハンドヘルド機同士に比べて重複率がやや高い。
◇男女比は、[PS3のみ]が84%:16%、[重複ユーザー]はやや男性比率が高くなり89%:11%、[PSPのみ]は76%:24%と女性比率がやや高まる。ただ、いずれにせよ全体的にかなり男性傾向が強い。このあたりはソニープラットフォームの特徴と言えるだろう。
◇年齢別は、基本的には若年層中心の似たような傾向となっているが、決定的に異なるのは[PSPのみ]の10代前半の多さ。他が10万人規模であるのに対し、[PSPのみ]は50万人規模で存在する。低年齢層ほど[PSPのみ]、20代は[重複ユーザー]率が最も高く、高年齢層ほど[PS3のみ]比率が高くなる傾向が見られる。
◇IPS別では、[PS3のみ]と[PSPのみ]は非常に似ており、各クラスタが比較的均等に分布している。[重複ユーザー]はここでもやはりイノベーティブ傾向がかなり強い。

 

10代前半から強く支持されるWiiと3DS。強いて言えばWiiは女性ユーザーが多い

 

 

【図4】Wii×3DS ・・・ 任天堂プラットフォーム同士の重複状況
◇ユーザー全体では、Wiiもしくは3DSを所有しているユーザーのうち、17%(145万人)が重複ユーザーとなっている。重複率は、ソニープラットフォーム(PS3×PSP)の17%と同じ。
◇男女比は、[Wiiのみ]が58%:42%で、[重複ユーザー]は70%:30%、[3DSのみ]は62%:38%となっている。普及過程にある3DSと、ユーザーの裾野にまで十分拡がったWiiとでは、ともに女性比率が高いプラットフォームでも、[Wiiのみ]の方が女性比率が高いという違いがある。
◇年齢別では、3グループとも比較的分布傾向が似ている。3グループとも10代前半がトップで、その他世代は比較的同じような規模で分布している。但し、ゲーマーに向けた本格的なタイトルを立て続けに投入した効果もあり、[3DSのみ]は20代の比率が[Wiiのみ][重複ユーザー]と比べてかなり高くなっている。
◇IPS別では、三者三様といった状況。[Wiiのみ]はマジョリティ傾向が強く、[重複ユーザー]は逆にイノベーティブ傾向が強い。[3DSのみ]ユーザーは各クラスタが比較的均等に分布している。

このように、各プラットフォーム(ハード)のユーザーを単独で見るのではなく、コンソール機同士、ハンドヘルド機同士、またソニープラットフォーム同士、任天堂プラットフォーム同士のようにテーマを持ってクロス集計することにより、それぞれのプラットフォームのユーザー像がより具体的にイメージしやすくなったのではないだろうか。

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