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ゲーム専用機ユーザーの「いま」と「これから」: 4 ゲーム産業をデータで読む

【第3回】第3章 年末にはどれくらいゲーム人口が拡大するのか

2016.08.18 | 光井誠一(株式会社ゲームエイジ総研)

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例年12月は、年間のゲーム市場を通じて最大の商戦期と言われている。売上ベースでこの年末商戦が語られるというケースはよくみられるが、今回は“12月のゲーム市場分析”をユーザー人口という視点でアプローチしてみたい。

 

年末はあらゆるゲームでユーザー数が増加。特に3DSとFacebookが急増

 

 

【図1】は2011年12月のアクティブゲームユーザー数をまとめたものである。年末商戦でユーザー人口がどれくらい拡大するかを確認するために前月データ(11月)もあわせて掲載している。プラットフォームの単位については[ハード視点]と[SNS視点]の両方で集計した。
12月のアクティブゲームユーザー人口を見た時に、全体としては11月に比べ1割ほどユーザー規模が拡大しているのが特徴であり、これは[ハード視点]での集計(※1)だけではなく、ゲーム専用機が介在していない[SNS視点]による集計(※2)でも同じ傾向である。

それでは、さらにプラットフォーム別に見るとどうだろうか?
まず、[ハード別]では3DSの前月比162%(※3)という突出した伸長率が目立つ。この3DSについては年末商戦という季節性だけではなく、同年8月の本体価格改定(1万円の引き下げ)による需要拡大が背景としてあり、そこに『スーパーマリオ3Dランド』『マリオカート7』『モンスターハンター3(トライ)G』という3本のミリオンセラータイトルの相次ぐ発売が本体販売を大きく牽引し、ユーザー規模が急拡大したということが容易に想像できる。3DSの次に伸長率が高いのはWiiの123%(※4)であった。つまり、ゲーム専用機については任天堂プラットフォームの伸長率が高いという傾向が見られると言えるだろう。

汎用機(非ゲーム専用機)の中ではiPhoneとAndroidのスマートフォンが比較的高い伸長率を示している。(※5) その他の汎用機がそれほど高い伸長率を示していないこと、また大半のユーザーが常時携帯しているであろうスマートフォンの製品特性を考えると、こちらも季節変動というよりも本体販売の好調さが主な要因となっていると考えるべきだろう。
一方[SNS別]ではどうだろうか。こちらは比較的分かりやすい傾向が明らかになった。端的にいうと、Mobage、GREEといった“ゲーム系SNS”(※6)よりもmixi、Facebookといった“コミュニティ系SNS”(※7)の方が高い伸長率を示しているという点だ。

 

年末には、普段ゲームをしない女性も遊ぶように

 

 

それでは、これらの傾向に何らかの「共通項」を見つけることができるだろうか?
そこで【図2】をご覧いただきたい。こちらは12月の各プラットフォームのアクティブユーザーをそれぞれ[男女別][IPS別]のセグメントに分解したものである。[IPS]とは別の章でも説明している通り、「ゲーム関与度の濃淡」を表す指標であるが、このデータを注意深く見ると、ひとつの法則性に気がつく。それは、12月にかけてMAUの伸長率が高かったプラットフォームはいずれも“「女性」あるいは「マジョリティ」の占める割合が比較的高いという傾向を示している”ことである。
つまり、年末年始にユーザー規模が拡大するのは主にライトユーザー比率が高いプラットフォームであり、一方、ゲーム専用機の中でもコアユーザー比率が高いハードやゲーム系SNSはもともと平月からゲーム接触率が高く、(年末商戦の)季節変動の影響を受けにくいということを示していると考えられる。
この傾向自体は特に目新しいものではないが、このように今回定量的データによってその“仮説”が裏付けられた。さらに言えば、今後も月次でMAUをトラッキングし続けていくことで年末だけではなく年間を通したプラットフォームごとのアクティブユーザー数変動傾向を明らかすることができるのではないか。また、これらのデータはそれぞれのコンテンツから見て、プラットフォーム選択や発売時期(もしくはサービス開始時期)を決定する上で非常に有益な情報となるだろう。

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