最後の旅へ
その年、ハチにとって老いは秋の日暮れのような早さでやってきた。予定していた夏の旅行も躊躇われるような状態だった。
「どうする、ハチ?」
旅行用のボイジャーというケースを取り出し、試みにハチをその中に入れてみる。よたよたした足取りで中に収まる。私と一緒がよいのか、九州の旅には楽しい記憶があるのか行きたいようだ。狭い所に入るのは嫌いなはずなのに、おとなしくしている。
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その年、ハチにとって老いは秋の日暮れのような早さでやってきた。予定していた夏の旅行も躊躇われるような状態だった。
「どうする、ハチ?」
旅行用のボイジャーというケースを取り出し、試みにハチをその中に入れてみる。よたよたした足取りで中に収まる。私と一緒がよいのか、九州の旅には楽しい記憶があるのか行きたいようだ。狭い所に入るのは嫌いなはずなのに、おとなしくしている。