餌の問題が解決すると、今度は「甲斐犬」について調べなければならなかった。
調べてみると「カイ犬」とは、「甲斐犬」のことなのだった。
昭和九年(一九三四年)、天然記念物に指定された数少ない犬種とあって驚いた。特徴としては、一代一主で、飼い主以外には馴れ親しまないとあった。普通の子犬と違う不可解さが、やっとわかった。
いったい元の飼い主や、親犬はどこにいるのかが一番、気がかりだった。再会は夢にすぎないのだろうか。ハチが「甲斐犬」なるものであることを知り、私は、ますます探し出せないものかと思った。山で出会った日のことが浮かんでくる。