川口世文 | マイナビブックス

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川口世文(かわぐちせぶん)

東京コンテブラザーズを「屋号」とする"パワードブックライター"(電子書籍専業作家)。

著書一覧

記事一覧

  • 【第8回】セイギメ~ン

    書名: 「」

    • 文芸

    週が明けると、正義は〈ほおずき幼稚園〉を監視することにした。園内を外から覗き込んでいるような輩(やから)がいたら、何とか捕まえたいと思っていた。こういうときには「犬」の存在が役に立つ。彼は愛犬のフラットコーテッド・レトリーバー、フレンディを散歩に連れ出した。

  • 【第7回】冬の植物園

    書名: 「」

    • 文芸

    十月中旬に訪れたときにはまだ秋も浅く、紅葉の一つも見つけられなかったのに、それから一ヶ月経つと、〈小石川植物園〉の園内全体が一足飛びに秋を越えて冬になっていた。 木々がすっかり葉を落としているのでやたらと見通しがいい。正門から入って本館に向かう坂道を上がってきた正義は、枯れたソメイヨシノの林を透かして、すぐに浜崎喜一の姿を見つけることができた。

  • 【第7回】ふたつの梨

    書名: 「」

    • 文芸

    翌日の日曜日、不動家に来客があった。シャッターを下ろした店の裏側で留守番をしていた花梨が応対に出ると、扉の外に立っていたのは一ノ瀬恵梨だった。 「エリー──どうして?」 「ごめんねぇ、お休みのところ──お兄さん、いる?」