インバウンド・アウトバウンド―はじめの一歩|WD ONLINE

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インバウンド・アウトバウンド―はじめの一歩 日本発を世界に届ける

より多くの顧客にアプローチしたいというのは、ほとんどの企業が思うことではないでしょうか。海外に向けてビジネスをすると、国内の何倍もの人数をターゲットとすることができます。しかし、そのぶん競合も増えることになるので、手軽に成果をあげられるということはありません。まずは足場を固めてから、真摯に取り組む必要があります。

インバウンド・アウトバウンドとは?

海外の顧客を獲得したいと考える際、大きく分けて二つのケースがあります。一つは、「インバウンド」と呼ばれる、観光などで来日した海外の人に買ってもらうという場合です。外国人観光客が年々増加していくなか、多くの国内企業や自治体がそうしたインバウンドでの取り組みに力を入れています。

もう一つは、「アウトバウンド」と呼ばれる、海外に向けて商品を届ける場合です。輸出をしてデパート等海外の実店舗で取り扱われたり、輸入品を扱うバイヤーに卸して実店舗やECサイトで販売されたりするほか、自社で海外対応したECサイトを用意し受注した商品を海外へと発送する「越境EC」といった方法があります。

こうした海外マーケットに向けた取り組みをしている企業はここ数年増えていて、「インバウンドの顧客を獲得したい」「越境ECをやりたい」という企業から我々コンサルタントへの相談は、現在も多くあります。

その中でも、「補助金を使って200~300万円の予算で手軽にインバウンド・アウトバウンド施策を行いたい」という相談も多いのですが、それには「無理です」と答えています。なぜなら、海外には多くの顧客がいる一方で、国内以上に多くの競合他社があり、より熾烈な競争の場となるからです。そこでビジネスをするためには、国内同様にきちんとマーケティングやブランディングをしていく必要があり、それでもきちんとやるという覚悟を持って臨まなければ成果はあげられません。実際に、一度トライしてみたものの、現実は厳しくて撤退した経験を持つ企業も多くあるのです。

 

 

日本で売れなくても海外では売れる !?

国民性の違いや国ごとの好みの違い、自国にはないものだからという理由でニーズが高まるなど、国内と海外でウケる商品が違うということはよくあります。しかし、日本であまり売れないものが、海外なら売れるということは基本的にありません。

自身に置き換えて考えてみても、「フランスで特別人気が高いわけでもないワイン」と「フランス国内でも人気の高いワイン」があったとしたら、心が惹かれるのは明らかに後者ではないでしょうか。それは、海外の人にとっても同じことなのです。

もし国内でまだそれほど認知や評価を得ていない商品だとしたら、まずは国内でのマーケティングやブランディングをきっちり行い、足場を固めることが大切です。日本で話題の商品ということになれば、自ら海外にアプローチしなくとも、SNSなどで海外に伝わっていくラッキーが起こることもあり得ます。

海外でも人気を獲得することは簡単ではありませんが、確実にマーケットは存在します。経済産業省のデータによると、主な相手国である中国とアメリカへの越境EC市場は年々拡大していて、今後さらに増えると予測されています。顧客となり得る人々は、確かに海外に存在するのです。

教えてくれたのは…林博文 Hirofumi Hayashi
イントループ(株) 代表取締役 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア(株))、ベンチャー企業、再度アクセンチュアを経て、2005年にイントループを創業。事業戦略、BPR、プロジェクトマネジメントなど、幅広いコンサルティング経験を有する。近年は海外進出支援、事業開発を手掛ける。

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掲載号

Web Designing 2018年12月号

Web Designing 2018年12月号

2018年10月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

アウトバウンド・インバウンド・越境EC!海外展開で4,000万人を顧客にする方法

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日本が注目される2020年まであと1年…でもまだ間に合う!

売り込む!呼び込む!買ってもらう!
世界を顧客にする方法
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2017年、訪日外国人の数は2869万人にのぼり、毎年400万人のペースで伸びてきているといいます。政府は、2020年に4000万人に乗せるという計画を公表しており、今後ますます国をあげて「訪日外国人増大」の波は確実に大きくなっていきます。

日本国内に向けた商品展開や売上に行き詰まりを感じている企業をはじめ、当然この「訪日顧客」の存在を無視する手はありません。さらに言えば、インターネットにより訪日外国人だけでなく世界中の人々に自社の商品・サービスの情報を届けることができる時代に、国内だけを見て一喜一憂していていいのでしょうか?

…とはいえ、

じゃあ何をすればいいのよ?
日本との文化の違いは大きな壁じゃないの?
どこの国を狙えばいいかわからない
売りたい商材、狙う国によってウケるアプローチは違うよね?

などとおっしゃる方も多いでしょう。そこで、海外を相手に「売り込む」「呼び込む」「買ってもらう」3つのアプローチを軸に、海外マーケティング戦略の基礎から1年で実現できる具体的な手法・考え方を、はじめの一歩から教えます。


[第1部]
■海外進出のために考えるべきことと準備すること
 ●売るのは「モノ」から「コト」へ
 ●海外の人に向けて、自社商品は何がウリなのか
 ●海外顧客に対応するためのWebでの受け入れ対策

■[Webで海外を相手にするアプローチ①]海外進出(アウトバウンド)
 海外に売り込む
  海外で取り扱ってもらうにはまず何をすればいい?
  ルールや法律はどちらの国のものが適用される?
 
■[Webで海外を相手にするアプローチ②]インバウンド
 ●日本向けと海外向けでコンテンツマーケティングの考え方は違うのか
 

■[Webで海外を相手にするアプローチ③]越境EC
 ●海外から自社ECショップへの集客術
 ●関税・免税はどう対処すればいい?


など

[第2部]

■世界地域別:進出とらの巻
第1部「海外を相手にする3つのアプローチ」を、自社ではどの国に仕掛ければいいでしょうか?
市場、文化、国民性、言語、法律、税制などアジア、ヨーロッパ、アメリカ、その他。地域独特の課題とクリアするヒントを解説します。

●自社の商品はどの国が狙い目?
 ターゲットにする国の選定基準

●各地域別攻略のヒント
 中国、東南アジア、アメリカなど


[第3部]

■言葉の壁をのりこえろ!

・ただの自動翻訳では客は集まらない!
・翻訳サービスの実際:作業期間・費用感
・サイトの海外対応で必ずぶつかる諸問題をできるだけ低予算で解決する
・テキストを使わないアプローチ



[第4部]

■海外戦略は決済対応が基本!

・地域別決済システムの有利不利・そのキメテ
・各国の決済事情への対応方法
・海外との決済関連の注意点
・低コストで導入できるサービス

など