2018.10.24
インバウンド・アウトバウンド―はじめの一歩 日本発を世界に届ける
より多くの顧客にアプローチしたいというのは、ほとんどの企業が思うことではないでしょうか。海外に向けてビジネスをすると、国内の何倍もの人数をターゲットとすることができます。しかし、そのぶん競合も増えることになるので、手軽に成果をあげられるということはありません。まずは足場を固めてから、真摯に取り組む必要があります。
インバウンド・アウトバウンドとは?
海外の顧客を獲得したいと考える際、大きく分けて二つのケースがあります。一つは、「インバウンド」と呼ばれる、観光などで来日した海外の人に買ってもらうという場合です。外国人観光客が年々増加していくなか、多くの国内企業や自治体がそうしたインバウンドでの取り組みに力を入れています。
もう一つは、「アウトバウンド」と呼ばれる、海外に向けて商品を届ける場合です。輸出をしてデパート等海外の実店舗で取り扱われたり、輸入品を扱うバイヤーに卸して実店舗やECサイトで販売されたりするほか、自社で海外対応したECサイトを用意し受注した商品を海外へと発送する「越境EC」といった方法があります。
こうした海外マーケットに向けた取り組みをしている企業はここ数年増えていて、「インバウンドの顧客を獲得したい」「越境ECをやりたい」という企業から我々コンサルタントへの相談は、現在も多くあります。
その中でも、「補助金を使って200~300万円の予算で手軽にインバウンド・アウトバウンド施策を行いたい」という相談も多いのですが、それには「無理です」と答えています。なぜなら、海外には多くの顧客がいる一方で、国内以上に多くの競合他社があり、より熾烈な競争の場となるからです。そこでビジネスをするためには、国内同様にきちんとマーケティングやブランディングをしていく必要があり、それでもきちんとやるという覚悟を持って臨まなければ成果はあげられません。実際に、一度トライしてみたものの、現実は厳しくて撤退した経験を持つ企業も多くあるのです。
日本で売れなくても海外では売れる !?
国民性の違いや国ごとの好みの違い、自国にはないものだからという理由でニーズが高まるなど、国内と海外でウケる商品が違うということはよくあります。しかし、日本であまり売れないものが、海外なら売れるということは基本的にありません。
自身に置き換えて考えてみても、「フランスで特別人気が高いわけでもないワイン」と「フランス国内でも人気の高いワイン」があったとしたら、心が惹かれるのは明らかに後者ではないでしょうか。それは、海外の人にとっても同じことなのです。
もし国内でまだそれほど認知や評価を得ていない商品だとしたら、まずは国内でのマーケティングやブランディングをきっちり行い、足場を固めることが大切です。日本で話題の商品ということになれば、自ら海外にアプローチしなくとも、SNSなどで海外に伝わっていくラッキーが起こることもあり得ます。
海外でも人気を獲得することは簡単ではありませんが、確実にマーケットは存在します。経済産業省のデータによると、主な相手国である中国とアメリカへの越境EC市場は年々拡大していて、今後さらに増えると予測されています。顧客となり得る人々は、確かに海外に存在するのです。