WD Online

解析ツールの読み方・活かし方 Web Designing 2018年8月号

【PR】サポートコンテンツにおけるアクセス解析のあり方とは TC協会×ウェブ解析士協会┆ワーキンググループレポート

製品やサービスの使用方法やFAQなど、ユーザーを助ける役割を持つ「サポートコンテンツ」。ここでもアクセス解析は不可欠だが、さまざまな要因により通常のWebコンテンツよりも浸透していない。マニュアルを扱う専門家の団体「一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会(以下、TC協会)」は、現状を打破するためにワーキンググループを結成。「TC業界におけるWeb活用方法」についての勉強会を定期的に開催している。2018年5月9日に行われた勉強会では「サポートコンテンツにおけるアクセス解析の考え方」がテーマとなった。
Photo:黒田彰

TC業界がアクセス解析に苦戦する2つの要因

サポートコンテンツの制作にはテクニカルコミュニケーションの知見を持つ担当者が携わることが一般的だ。製品の仕様書やマニュアルの作成技術やユーザーに正しい情報を提供する術に長けている彼らだが、そこで用いてきた媒体は紙が主流であり、Webを通じた情報提供に慣れていなかった。そこでTC協会は、2012年頃からTC業界におけるWeb活用方法のあり方を考えるためにさまざまな取り組みをしてきた。

現在の重要取組事項の1つが「評価指標の定義」だ。サポートコンテンツという、直接的に売上アップにはつながりづらいページやコンテンツではどのようなKPI/KGIを設定すればよいのか、そのために必要なデータを取得・解析するための手法をどう身につけるか。この評価指標の定義のために、今、TC業界が力を注いでいるのがアクセス解析技術の習得だ。ユーザーの行動データを取得し、それをもとに問題点を洗い出し、改善につなげていく。こうしたサイクルを業界全体に浸透させていこうとしている。

だがその取り組みは、現在2つの要因によって苦戦している。1つはTC業界側にアクセス解析に関する知識を有した人材が少ないこと。Webにおける評価指標を定める文化がなかったため、どのデータに注目すればいいのか、データをどう扱えばいいのかといったことがわからず、せっかく取得したデータを効果的に活用することができていない。そして、もう1つの要因は、一般的なWebコンテンツとサポートコンテンツでは目標設定やユーザー定義が異なることだ。アクセス解析の知見を得るためにウェブ解析士の力を借りたとしても、「売上アップのためにデータを取得する」という観点に立つことが多いウェブ解析士と、「ユーザーの課題解決をするためにデータを取得する」という希望を持ったTC関係者の間に齟齬が生じ、話が前に進まないことが多かったのだ。

 こうしたギャップを埋めていくために、今回のワーキンググループではウェブ解析士マスターの田所輝美雄氏を招き、サポートコンテンツにおいてどのような項目を、どのような切り口で見ればよいのかというテーマで講義の場を設けた。

 

複数のデータを掛け合わせることでユーザーの姿が浮かび上がる

今回のワーキンググループ開催に先立って、ヤマハの石川秀明氏より、同氏がサポートコンテンツの制作を手がけたアナログミキサー「MGシリーズ」のアクセスデータが田所氏に提供された。MGシリーズのWebサイトは、第一義的にはマーケティングを意識して制作されたものだが、製品の活用方法やドライバのダウンロード機能などがあり、サポートコンテンツとしての要素も持ち合わせているため、今回の題材として取り上げられた。このサイトのデータを事前に確認・分析した田所氏より、データが持つ意味や、それらを掛け合わせることで何が見えてくるのかが解説された。

田所氏がまず挙げたのが、MGシリーズのサイトを訪れるユーザーがどのようにしてやってくるのかという「流入チャネル」と、ユーザーが最初に閲覧するページである「ランディングページ」の関係性だ。

「Googleアナリティクス(以下、GA)では、ユーザーがどのような方法で自社サイトやコンテンツに訪れたのかを確認することができます。例えば検索サイトで何らかのキーワードを入力した場合は"Organic Search(自然検索)"と表示されますし、ブックマークやアプリ経由、もしくは直接URLを打ち込んで訪れた場合などには"Direct"と表示されます。例えばDirectで流入しているユーザーが多い場合、その製品やサービスをすでに知っている人が多いことが推測できます」(田所氏)

「MGシリーズのサイトの場合、Organic Searchで流入してきているユーザーが多くいました。そこからより細かく検索キーワードを見ることができればいいのですが、現在のGAはOrganic Searchにおいて検索されたキーワードをほとんど見ることができません。しかし、Organic Searchで来たユーザーがどのページにランディングしているかを併せて見れば、ユーザーがどのような意図を持ってコンテンツを見に来ているのかは推測できるのです」(同氏)

個別の製品ページがランディング先であればその製品に興味を持つユーザーである可能性が、製品一覧ページがランディング先であればブランドそのものに興味を持つユーザーである可能性が高いと推測できるというわけだ。

続いて田所氏は、製品概要ページにランディングし、その後ドライバのダウンロードページを閲覧したユーザーのセッションデータ(Webサイトに訪れてから離脱するまでの一連の流れ)について言及した。

「製品情報を求めて来たユーザーがその途中でダウンロード情報に興味を持つのかを見てみましょう。10ページ以上閲覧しているユーザーもいましたが、母数自体は非常に少ないことがわかりました。他方、別のデータではダウンロードページに直接訪れたユーザーもいました。この2つの情報から、“ダウンロードを目的とするユーザーは、『ダウンロード』というキーワードで検索するのではないか”という推測をすることができますし、“概要ページからダウンロードページへの導線を目立たせた方がいい”あるいは“ダウンロードページは、ドライバー、マニュアル、設計資料を別ページに独立させるべき”といった改善案の検討を進めることができるようになります」(田所氏)

一つひとつのデータは単なる数字にしか過ぎないが、このように複数のデータを掛け合わせていくことで、ユーザーの姿を浮かび上がらせることが可能になる。情報提供側が設定したユーザー像よりも実体に近いユーザーの情報を把握できれば、より良い施策や改善案を検討するための新たな切り口を見つけることができるのだ。

 

 

特定の指標を見続けることで知見は貯まる

田所氏の講義後、参加者の感想共有、質疑応答が行われた。まず、MGシリーズの事例を提供した石川氏。

「これまで1つの項目を見る単純な分析は実施してきましたが、今回のように複数のデータを掛け合わせると新たなものが見えてくることは非常に興味深かった。こうしたことができるようになるためにも、まずはそれぞれのデータの意味を理解することが重要であるとも感じました」

同様に、このワーキンググループの主宰者でもあるTC協会の黒田聡氏も、「TCに携わる人々がデータの意味を理解すること」の重要性を訴えた。

「TC業界の大多数は、ユーザーの行動をヒューリスティックに判断し、“このように読むはずだ”と定義しています。しかしWebの世界では、データに基づいてユーザーの行動を考えていく。つまり、データを取得し、それぞれの指標の持つ意味を頭の中に入れた状態で議論をしていくと、サポートサイトにおけるKPIやKGIが設定しやすくなるのではないかと思います。ただし、我々にはまだその知見が足りないので、ウェブ解析士の力を借りていくべきであるし、同時にウェブ解析士の方々が我々の目線に降りてきていただくことも必要なのではないかと思います」

さらに他の参加者からは「どのようにアクセス解析に取り組んでいけば知見が貯まるのか?」という質問が飛んだ。それに対して田所氏は「特定の指標を毎日GAで見続けていくこと」を推奨した。その指標とは、例えばPVだ(3)。ある月に1万PVを記録したサイトが、翌月には8,000PVになっていたとする。PVは「1回の訪問で閲覧したページ数」と「ユーザーの訪問数」という2つの要素からなる指標であるため、この2つの要素から減少の原因が見えてくる。

「1回の訪問で閲覧したページ数が減っているようであればコンテンツの力が落ちていると考えられますので、導線の改修やリニューアルの必要が出てくるでしょう。逆に、訪問者数が減っていれば、集客力が落ちているのでSEOの改善や広告施策の検討をする必要があります」(田所氏)

 

今求められる「データ解析カタログ」

最後に、参加者から田所氏に対して次のような要望が伝えられた。

「実際に会社でアクセス解析の重要性を説いても、必ずと言っていいほど“それをすることで何になるの?”と聞かれます。その問いに答えるためにも、“この数字をこのように分析していけば、こういうことがわかる”というデータ解析に関するカタログのようなものがあれば上層部を説得する強力な材料になります」

もちろん特定企業のデータをおいそれと世間に開示することはできないし、そもそもアクセス解析はその企業、そのサイトによって異なるため、そうしたカタログをつくることは簡単ではない。だが一方で、TC業界に限らず、思うようにデータを活用できていない企業やWeb担当者は多い。そうした人々もまた、「データ解析カタログ」のようなものを求めているだろう。現実的なハードルはあるものの、それができれば日本におけるデータ解析は一気に加速していくことになるかもしれない。

090d0eb7f180f7d1a3bd391877b603e5.jpg
「MGシリーズ」の アクセス解析情報
「MGシリーズ」のサイトはGoogleアナリティクスを導入しているが、セキュリティの関係上直接閲覧することはできないため、田所氏が作成したカスタムレポートを元に石川氏がデータを抽出した
b9c1cc886efc72f252d81346b7eb1bd8.jpg
講師 田所 輝美雄 氏
一般社団法人ウェブ解析士協会  ウェブ解析士マスター
メーカーで企画開発業務や自社サイトの構築などを手がけた後、ウェブ解析士マスターを取得。現在は愛知県を拠点にウェブ制作やアクセス解析のコンサルティングを務めている。今回のワーキンググループで講師として招かれた
ba60432cf24cb88719b97b82e1fd7fe8.jpg
コーディネーター 黒田聡氏
一般財団法人 テクニカルコミュニケーター協会 公益活動企画会議 議長

企画協力:一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会

掲載号

Web Designing 2018年8月号

Web Designing 2018年8月号

2018年6月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

IT人材の採用は、将来を左右する最大の経営課題だ!

サンプルデータはこちらから

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

「売り手市場」でも採れる方法はある!
採用 最新必勝ノウハウ

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

こんなお悩みを抱える方、必読です!

「求人広告を出しているが、応募がない」
「雇ったのに、すぐに辞められてしまう」
「求人広告費に多額の予算をつぎ込んでいるが、成果がない」



最近、「企業が大学生どころか高校生にまでアプローチしている」という記事が新聞に載り、衝撃を受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
人材採用は、そこまで深刻な課題となっているのです。

そして、現場は「人手不足」が憂慮すべき問題になっています。
自社の将来を担える人、自社の成長の力となってくれる人、今のプロジェクトを成功させるためのスキルを持つ人が欲しい…職種・業種・役職は違えど、みなさんが直面している悩みではないでしょうか。

時代はデジタル全盛時代。新卒者、転職者限らず情報が身の回りに溢れ、SNSのような新たなコミュニティの文化が育っている昨今、今までの採用方法にこだわっていては望む成果は得られません。

しかし、そんな「IT時代」の「売り手市場」でも、求める人材を採用する方法はあります。その1つが「マーケティング」の知識です。
自社の存在を知ってもらい、自社のビジョンを的確に伝え、共感してもらい、
確度の高い採用候補者にアプローチし、入社してもらう。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

「お客様に知ってもらい、買ってもらい、ファンになったもらう」マーケティングの知識が十分に活かせます。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


本特集では、IT系人材を採用するための最新ノウハウを詰め込みました。また、昨今の採用にまつわる動向、制作会社との関わり方、ダイレクトリクルーティングやHRテックの最新情報などもふんだんに掲載。

経営者、人事担当者はもちろん、マーケティングやクリエイティブ部門の方も将来の心強い新戦力を迎えるために、ぜひご覧ください。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●こんなことでお困りじゃないですか?「採用あるある」
1つでも「あるよなあ・・・」と思ったら、本特集を読むべし!

●なぜ、あなたの会社の採用はうまくいかないのか?

●採用はマッチング。だからマーケティングのノウハウが生きる。

●【募集要項をつくる】
 どんな人が、なぜ欲しいのかを決める。「募集要項」は採用活動のための最重要ポイントです。

●【採用マーケティング】
 採用したい「人材」に自社を「好き」になってもらうために。ペルソナを念頭に、マーケティングの観点で取り組もう

●【入社してもらう】
 自社にマッチした人材と出会い、入りたい企業だと思われるためのノウハウ

●大手就職情報サービスに聞く 売り手市場で成果を目指せ! 中途採用の現場

●[3年単位で実施して][ぐっと成果を引き寄せる!]最適なインターンシップの実現方法

●求職者の気持ちを「おっ!」と惹きつける 採用サイトに必要なクリエイティブのポイントとは

●AIが変える採用のかたち


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<こんな方にオススメです>
■応募者を募るため、とにかく広告費にお金を注いでいる
■応募があっても面談キャンセルが多い
■エントリーは多いものの、説明会後の実応募がすくない
■会社説明時、応募者に「そんな事をやっていた会社なんですね」と驚かれる事が多い
■内定者に辞退されてしまう
■求める人材像は「明るい・元気・素直」
■最終面接に残る人材のタイプがばらばら
■役員に聞いても、現場に聞いても、いま必要な人材像が見えない
■採用活動に社長は関わらない
■採用ツールに一貫性がない

編集部からのおすすめ記事

この記事を見た人はこんな記事も見ています