2018.05.28
UX視点で記事の伝わり方を改善したオウンドメディア「WORK MILL」 本質的な課題の再認識が、意識を変える
株式会社オカムラのオウンドメディア「WORK MILL」では、UX視点のコンテンツマーケティングによって、“伝える”ことに対する取り組みを大きく転換させた。その舞台裏を聞いた。
考える場として、本当に納得できる記事を
社会的に"働き方"が注目されるようになってきた2015年、オフィス家具やワークプレイスづくりを提供する株式会社オカムラ(以下、オカムラ)で、働くことに関する情報発信プロジェクト「WORK MILL」がスタートした。メディアやイベント、ビジネス誌の発刊など複合的な取り組みを行う同プロジェクトのひとつとして、同年12月に立ち上げられたのがWebマガジン「WORK MILL」だ。仕事や働き方に関して独自取材による記事を制作し、週1回火曜日に掲載している。
編集長の遅野井宏さんは、長らく同社でオウンドメディアを持つことを目指してきたという。
「情報を発信するためにも、自社でコンテンツを持つ必要があります。社内には30年以上の歴史を持つオフィス研究所という研究部門があり、顧客のワークプレイスづくりからもさまざなま知見が蓄積されています。同時に、今後についてのリサーチのために先駆者たちの意見を聞き、顧客ともコミュニケーションを重ねながら、これからの働き方がどうなるのかを考える場が必要だとずっと思っていました」(遅野井さん)
開始以来、遅野井さんら編集担当者が深く関わる形でコンテンツづくりが行われているのがWORK MILLの特徴だ。
「企画や打ち合わせだけではなく、我々も取材に行き、聞きたいポイントは質問する。できた記事に対しては、編集メンバーが本当に納得するまでOKを出しません」(遅野井さん)
当初は「別の記事になるかと思うくらい」修正を入れ、伝える内容にこだわり続けてきたという遅野井さん。半年が過ぎる頃には制作会社やライターともメディアの趣旨や方向性を共有できるようになり、制作がスムーズに回るようになってきた。
しかし、現在も繰り返し煮詰め、時間をかけて制作している部分がある。
「毎回、その記事のポイントをイラストで伝えています。内容をよく理解して趣旨を汲み取らなくてはならないので、時間はかかりますが、大事にしているプロセスです」(遅野井さん)
記事制作を通じ、しっかりしたWORK MILLのブランドづくりに取り組んできた遅野井さん。しかし、2年近く経ってもUUが1万を超えないという歯がゆい状態が続いていた。