2017.05.16
Web制作会社におけるAI活用 これまでにない効率化やエンターテインメントを実現する
いまやWeb制作会社はサイトをつくるだけではなく、多様なデジタル技術を手がけるようになっている。AIにいち早く取り組み、クライアント案件に導入しているWeb制作会社では、どのようにAIを活用しているのだろうか。「ワントゥーテン」「面白法人カヤック」「ティファナ・ドットコム」の3社に、その実態についてうかがった。
ワントゥーテン
顔認識や表情認識でユーザーに応じたコミュニケーションを
高い技術力で、Webにとどまらずさまざまなデバイスの開発も手がける「1→10(ワントゥーテン)」。同社がAI開発に取り組んだきかっけは、5年前のことだという。
「2012年にGoogleの研究するAIがYouTube動画から猫という概念を認識したというニュースがきっかけとなりました。これはディープラーニングの走りですが、大量のデータから特徴を把握するということに驚きました。現在では、AIは画像認識・音声認識・音声合成・表現など機能を絞った分野で大きな成果をあげていますが、これからはさまざまな分野を横断するようになると思います。ロボットやAIという観点では、人間に匹敵する知覚を有することも不可能ではないことに、大きな魅力を感じています」
そうしたAIの魅力を、どのように制作案件に取り入れているのだろうか。
「AIはバズワードとなり、たくさんのご相談をいただいています。ただ、現在の第3次AIブームは、ディープラーニングが基本にあるため、弊社がよく担当させていただく広告などのキャンペーンサイト案件とは、あまり相性が良くないように感じています。ご依頼からリリースまでのごく短期間でAIに学習させることができる特徴は、それほど多くないと考えているからです。ただ、顔認識や表情認識といった画像認識は、スケジュールに収まるよう、技術観点・表現観点の双方でご提案させていただいています。また、広告案件の場合は、AIに学習させた結果をわかりやすく表現に落とし込むことにいつも難儀します」
そうしたAI案件には、どのくらいの予算が必要になるのだろうか。
「内容によりますが、弊社では数百万から数億円まで見積もったことがあります。たとえば、AI が学習するデータをご用意していただけるか否かで予算は変わってきます。データが元々あれば、大企業でなくても導入可能だと思います」
AIの浸透で、Webやアプリのクリエイティブも変わっていくのだろうか。
「商品やプロダクトといったコンテンツは、サービスが向上していくと思います。しかし、Webサイトやアプリのユーザー体験という観点では、大きな発展はないように感じています。AIによってユーザーのデータ取得が今以上に増えることが、難しいと考えているからです」