2017.03.15
[akippa]差別化の鍵は“人間味” Twitter&アンバサダー制度でエンゲージメント向上施策
同業他社に差をつけサービスを拡大させるには、一度掴んだユーザーをどれだけ「浮気させずに」定着させるかが重要だ。そのためのエンゲージメント獲得と強化策、また独自の「人重視」の施策にakippa急成長と差別化の秘密が隠れていた。
Illustration:児玉淳一
熱いファンが導いたアンバサダー制度
空き駐車場や個人宅の駐車場をスマートフォンで手軽にシェアできる「akippa」。駐車場不足の問題を、簡単で安価に予約できる仕組みで解決した駐車場サービスだ。2014年スタートながら全国に8,300拠点(2016年12月時点)を有し、コインパーキング業界3位に食い込む急成長を遂げている。そんな同社が、よりakippaサービスに対して熱い想いを抱いているユーザーを中心にアンバサダーの発掘と育成を始めている。
これまでのユーザーとのコミュニケーションでは、TwitterとFacebookを利用してきたakippa。そこから新たにアンバサダー制度を立ち上げるきっかけとなったのが、駐車場オーナー・利用者向け交流会(オフ会)の開催だ。直に顧客と接する営業担当やサポート担当のみならず、会社全体で利用者と交流する中で、毎回相当数の好評価や改善要望が集まっていた。オフ会や公式Twitterアカウント運営など、アンバサダー関連業務を担当する藤野佳那子さんは語る。
「こうした機会があれば次もぜひ関わりたい、と大変な熱量でご意見をくださる方がたくさんいらっしゃいました。そんな方々の思いに応えるには、ご指摘内容の改善報告などを行える場が必要だと。そこで距離感が密になる承認制非公開Facebookページを立ち上げました」
積極的なファンの存在、そしてFacebookページに滲む愛着心に対し、社内からもサービスを差別化する上での強みになるのではとの意見が出ていた。彼らの口コミがサービスを広げ、彼らが持つコミュニティが新たなオーナーを発掘してくれる可能性もある。営業施策とは別軸で、拠点を増やす方法が生み出せるのではないかとの予測もできた。そこで生まれたのがアンバサダー制度というわけだ。大まかには、任意参加のオフ会にて承認型非公開Facebookページを告知、参加したユーザーの反応や行動などの対応を基準に認定するといった流れになる。現在、その第一段階となるFacebookページへの参加者は40人ほど。土地や駐車場所有者のため世代は40~50代と高めだ。
「まだ選定中ですが、理想は『熱いアクションやフィードバックを返してくれそうなファン代表の発掘』です。ゆくゆくは利用者代表としてakippaの上層部や社員とともにサービス向上のための討論会に参加いただき、ユーザーさん全体に還元していくことが目標です」
投稿へのコメント数、利用者としての貸出・借入回数、保守管理面やサービス面での改善点などの提案、駐車場レビューの内容と選定基準項目は多岐に渡る。
「例えば、オーナーグループの全国集会を開いた時に代表として壇上で話していただけるようなロールモデルになってほしいのです。新人のオーナーさんがその人を目標にして、『自分もサービスを盛り立てていきたい』と思わせる存在というか。ですから、サービスの仕組みや機能のみならず社員についても熟知したご意見番的存在とも言えますね。賃貸の先輩として社外視点でお話できる方が発掘できたら、広報チームとも異なる広報活動ができると思います」
詳細は未定だが、年に一度「熱い想いを持ったアンバサダー」として表彰し認定する計画もある。彼らを筆頭に顧客エンゲージメント向上を図り、意見などをサービス向上に活かし、ユーザーに還元するサイクルをつくりたいという。