2017.01.19
事例:明確な役割を持つ‘’営業ツール”としての動画 [Case Study]課題を抱えたBtoB製品サイトへ新たな一手
SEO、ネット広告などの施策に加えて、新たに動画マーケティングをはじめる企業も多い昨今、BtoB向け動画もまた、その効果に注目が集まっている。「明確な課題や目的」の重要性は、本事例からもつよく伺えた。
Photo:黒田彰 Illustration:児玉淳一
Webサイトの弱点を補強狙いを絞った動画を
動画マーケティングというと比較的BtoCで活用されるケースが多い印象を受けるが、BtoBでも効果を発揮している事例がある。クラウド型ビジネスソフト群「TEんTO(テント)」を開発・販売するテンダでは、Webサイトへ新たな施策を取り入れるにあたり、3つのポイントから動画を選択した。一つはマーケティングのモデルプロセス「AISAS」における「Interest(関心)」を強化したいという目的だ。
「弊社では以前からSEOやネット広告を利用し、集客についてはある程度成果が出ていましたが、その次の段階でどう関心を持たせるかという部分が弱いと感じていたため、そこを補強する新しい手法を探していました。SNSも注目されていましたが、関心を高めてもらうという目的のためには動画の方が適していると判断しました」(テンダ 林 貢正氏)
TEんTOは3つのプロダクトを含む製品であり、それをWebページで一度に訴求するのは難しい。訪問者の滞在時間は平均で約1分程度。ホームページのテキストも通常2割程度しか読まれない。同じ1分であれば動画を使って説明した方が伝わるのではないかと考えたことが2つ目のポイントだ。
3つ目は、ユーザーの再訪を促すエンゲージメント効果を狙ったことだ。同社サイトのアクセス解析では、一度の訪問ではコンバージョンしない傾向が明確に出ていた。これについて林氏らは、訪問者はまず競合を含めて複数製品の情報収集を行い、比較検討し選ばれた場合に再訪されコンバージョンにつながると推測。選択肢として生き残るには、文章や画像よりも記憶に残りやすい動画の方が強みを期待できる。
このように目的は明確になっていたが、初の試みでもあり、悩んだ部分もあったという。
「私たちのような規模で、ブランド力もまだない新製品で、果たして動画をつくって効果が出るのかという点では迷いました。ただ、目的をInterestに絞っていたので踏み切れたと思います。Attention目的の広告だったらもっと躊躇していたかもしれませんね」(林氏)