2016.03.23
One's View コラム Web Designing 2016年4月号
[Webサービス:Adobe Voice]声で伝えるストーリー
4人のナビゲーターが、それぞれ自分のジャンルから一つの対象を選んで毎月紹介する「ナビゲーターズコラム」。選んだ対象の目の付け所や特徴など、わかりやすく解説してくれます。
最近、Adobeのモノづくりをクールに感じる。「Adobe Voice」を使って、そう思った。Adobe Voiceは、声と画像と音楽を使って、とても簡単に魅力的なプレゼンテーションムービーを作れるアプリだ。実は、iPad版は2014年のApp Storeの「BEST APP」に選ばれているのだが、今年1月にiPhone版がリリースされたので使ってみて驚いた。あのiPhoneの小さな画面で、とても簡単に、ものの数分でパワフルなムービーが作れるのだ。アイコン画像を検索して使えたり、豊富なテンプレートが用意されていたりと、直感的で使いやいのにパワフルなのだ。簡単にムービーが作れるアプリはたくさん出ているが、その中でも圧倒的にクオリティが高い。
Adobeはシリコンバレーの中でも古い企業で、個人的にはどこかイケてない印象を持っていたのだが、実はここ数年の躍進はスゴい。日本ではそんなに名前を聞かないが、現在のAdobeのCEOシャンタヌ・ナラヤン氏は、事業立て直しの名人としてシリコンバレーで有名な人物だ。2007年にCEOに就任してから、リーマンショックやAppleのFlash排除など、相当なピンチが続いた。また、一部のユーザーの反対を押し切ってAdobe製品を完全にクラウドに移行した直後は、7億ドルを越える売り上げを失った。しかし、数年であっという間に回復し、サブスクリプションで収益の安定性も増して、株価は5年前の4倍以上となっている。
安定した収益基盤を背景に、今のAdobeはかなり挑戦的なモノづくりを行っている。App StoreにもAdobeのアプリが30近く並んでおり、Adobe Voiceのようなクオリティの高いアプリもリリースしている。これは、直接的には収益に結びつかなくとも、Adobeのブランド価値を押し上げる要因になっている。今後も巨人Adobeの作るクールなプロダクトには注目である。
【Web Service】https://itunes.apple.com/jp/app/adobe-voice-sutoriwo-biao/id852555131?mt=8