2015.10.14
[海外事例]ドライバー向けに特化したアプリ「Live Traffic」の“最適化”プロセス●特集「スマホ最適化」
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州がリリースするアプリ「Live Traffic」。「最適化」のポイントは、ニーズの見極めと機能の絞り込みだという。Tigerspike日本支社の根岸慶氏に、そのプロセスについて話を聞いた。
Photo:石塚定人
徹底したユーザー分析
エミレーツ航空やThe Economistなどをクライアントに持ち、世界8カ国で制作を行うTigerspike社。昨年開設した東京オフィス代表の根岸慶氏は、スマホ向けアプリやサイトのポイントを次のように説明する。
「『UX』『ビジネス』『テクノロジー』のバランスが非常に重要。UXは最大化させるものではなく、この3つのバランスの中から“最適化”させることが常に求められます」
同社がオーストラリアのニューサウスウェールズ州(以下、NSW)から依頼を受けて制作したのが、iOS、Android向けアプリ「Live Traffic」。NSWの渋滞緩和を目的にローンチされたこのアプリは、道路工事や浸水など、Googleマップでは得られない道路情報がリアルタイムで表示されるのが大きな特徴だ。だが、こうした機能だけではユーザーに使い慣れたGoogleマップから乗り替えてもらうのは難しい。そこで同社がアプリ開発の際に行ったのが、徹底したユーザー分析だ。
「ユーザーは誰なのか、どんなシチュエーションで使うのか、どんな機能が必要とされていて、何に困っているのか。Googleマップの代わりに使ってもらうにはどうすればいいのか。それらをヒアリングやユーザーテストから導き出して、NSWが持っている交通情報をどう使えば、課題が解決できるのかを考えていきました」
その結果、導き出されたのが、通勤や子どもの送り迎え、買い物など、「日常的に同じルートを走るドライバー向けアプリへ最適化をする」こと。
Googleマップは徒歩や自動車、電車など幅広いルート検索ができる反面、ドライバーにとっては目的地を手入力したり、高速使用有無の切り替えに2~3の操作が介在するため、若干、手間がかかる。
そこでLive TrafficはAB地点ルート検索や、高速使用の有無、混雑状況の表示などをタッチだけで可能にするなど、Googleマップとの差別化を図っている。さらに登録したポイントの交通量がライブカメラでチェックできる機能なども付いており、毎日決まったルートを使うユーザーにとっては、Googleマップ以上に使い勝手のよいアプリを生み出した。

