2022.03.04
【コラム】ノーコードツールが秘める可能性 今号のお題 [CMSとコンテンツ]
さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。
今号のテーマは「CMSとコンテンツ」。2021年のCMS特集ではShopifyについて書いたのですが、今年はノーコードツール「STUDIO」にまつわる思い出話をしたいと思います。
STUDIOは先述の通り、実装に関する知識が足りなくても誰でもWebサイトをつくることができるいわゆるノーコードツールです。その直感的な操作性とデザインの自由度の高さが好きで、少しシビアな話ですが、スケジュールが厳しかったり、テストリリースなどでそこまで工数を割きたくないときに重宝しています。STUDIO自体もプロダクトの改善が頻繁に行われていて、ますます痒いところに手が届くツールになっていきそうだなあ、とアップデートのリリースを見るたびに思います。
さて、本題の思い出話は3年前、前職の株式会社KOSで開催したイベントの特設サイトをサプライズで用意したときのことです。現在はKOSのグループ会社のような立ち位置でライバー(SHOWROOMや17LIVEなどのプラットフォームでライブ配信を行っている方の総称)のマネジメント事務所を運営しているのですが、当時はまだ所属人数もそれほど多くなく、マネジメントはKOS内の一部署として運営されていました。そもそも、「ライバー」という言葉の知名度もマイナーな中で、ライブ配信だけで生活し、そのお金を元手に自分の夢を叶えていく人を増やしたいという事務所としての方針とは裏腹に、どうしてもマネジメントが追いついていなかったり、ライバー本人の意欲や士気に波があったりと、運営側と所属しているライバー側に温度差があるように感じていました。
当初はイベントの告知用バナー制作を依頼されましたが、開催日時や場所などの情報を一元化する名目で、所属ライバーのモチベーションを上げるための特設サイトがつくれないか、というアイデアが浮かんだのが既に告知開始日の1週間前。社内に実装担当者がいなかったため、スケジュール的に実現可能な方法を取った結果、はじめてSTUDIOを使うことになりました。デザイン制作からサイト公開まで2日で完了し、なんとか間に合わせることができたのです。と同時に、わざわざリリース後に直接SNSなどでお礼を言ってくださるライバーの方が何人もいて、たった2日でつくったサイトにも関わらず個人的にかなり思い入れの強いサイトになりました(事前に相談もせず、勝手にサイトをつくったことを怒らずにむしろ喜んでくれた社内のメンバーにもとても感謝しています)。
こうしたケースがすべてではないですが、「お手伝いさせていただきたいな…」と思ったお話でも、スケジュールや予算の兼ね合いで諦めていたことが、こうしたツールを上手く使うことで提案の余地が生まれると改めて気づきました。もちろん、表現技法などに多少の制限はありますが、STUDIOに限らずさまざまなツールも場面と使い方次第で立派なコンテンツを制作できる可能性を秘めているのではないでしょうか。
他業界から転職してきた身としては、Web業界では本当に新しいツールが次々とリリースされるなと、いまだに驚かされるのですが、新しいツールに使い慣れていないからと言って食わず嫌いをするのではなく、まずは触ってみるという心がけはずっと忘れずにいたいと思います。その時々に合った選択肢を増やして、自分の提案の幅を広げるきっかけの一つになると思うと、新しいことに触れるのも楽しみになる気がしています。