2020.09.02
一歩先を行くウェビナー配信環境 「抜けなく・漏れなく・被りなく」整える
ウェビナーで十分なクオリティを保つためには、機材、配信環境を整備することが必須。その具体的な方法について、株式会社Schooの武田悠希さんに伺いました。
機材リストアップにあたって
ウェビナーは、極論スマホ1台でもできますし、ノートパソコンに搭載されているカメラやWebカメラを使うなど、コストをかけなくても実施自体はできます。
しかし、企業が主催するウェビナーでは一定のクオリティーが求められます。そのため、適宜必要な機材を準備し、参加者の満足度を高めるような配信環境を整備していきたいものです。
まず知っておきたいのは、配信環境を整える際の基本的な考え方です。とりあえずマイク、カメラなどと思いつく機材をバラバラに揃えるのではなく、01のように、4つの要素に分解して整理すると、配信環境を設計しやすいです。
「映像」「音声」「電源」「回線」に分ける考え方により、必要な機材を整理できると同時に重複することを防げます。まず、この基本の4要素それぞれについて、自社ウェビナーの企画内容や運用体制を意識しつつ、何を用意すればいいか考えていきます。
例えば、マイクはいくつか、カメラは何台かなど、最初は入力ソースの数から考えていきます。また、「音声はこのミキサーから入力する」というように入力を一箇所に絞ると整理しやすいです。本格的にやろうとすると際限ない機材ですが、全体を網羅しながらふさわしい規模を設計しましょう。
解像度とフレームレート
さまざまな機材をつなげて運用していくことになる場合、まず知っておきたいのは解像度とフレームレートの概念です。
動画はパラパラ漫画と同様、静止画の連続によって動いているように見せています。動画の画面サイズを「解像度」、1秒間に表示するコマ数を「フレームレート」といい、解像度が高いほど高画質になり、フレームレートは数値が大きいほど動きが滑らかになります。
解像度は動画の場合、縦1,920×横1,080ピクセルというように「縦×横」の解像度で表記され、縦1,920×横1,080ピクセルは1,080pもしくは1,080iと表記します。フレームレートは60fpsのように「FPS」という単位になります。
この解像度とフレームレートが揃っていない機材同士をケーブルでつないでも映像は認識されません。ケーブルの中で解像度とフレームレートを変えることはできないからです。
もしカメラが1,080i出力であれば、その信号を受け取るスイッチャー側も1,080iに対応していなければなりません。カメラだけでなく、パソコンやキャプチャーにも、解像度1,080i、1,080pという表記があります。新たに機材を購入する際は、対応スペックを必ず確認するよにしましょう。
信号形式が違う機器同士をつなぎたい場合は、入力された信号を変換して出力する機能の付いたコンバーターやスイッチャーをかませて接続する方法もあります。
そのほか、配信環境を整備していくうえでの大前提として把握しておきたいポイントがいくつかあります(02)。いずれも、後で触れながら説明していきますが、機材選びや配信トラブルの予防において欠かせない知識です。こうした情報も頭に入れながら、配信環境を整えていく必要があります。
次ページでは、実際に映像系、音声系の機材をどう選ぶか、具体的にどうトラブルを防ぐか、を細かく解説していきます。