2020.08.31
Webマーケティングとウェビナーの役割 “感度”をくすぐり、儲けにつなげる
ウェビナーのメリットといえば、低コストで多くの利用者に配信できること。しかし、その効果を最大化するには、いくつかのポイントがあります。ウェビナー業界を牽引する株式会社シャノンは「そのポイントとは、デジタルな情報発信にアナログ的なフォローを融合すること」と提唱します
Webマーケティングの理想形は「目的志向型」
Webマーケティングの視点から企業Webサイトの管理・育成を行う(株)ヘノブファクトリー。同社取締役の谷脇しのぶさんはさまざまな案件を通し、多くの企業は本来Webマーケティングが発揮する効果を得られていないと感じていると言います。
Webマーケティングの価値が日本でいまいち上がらない理由のひとつに、その目的や手法がまだまだ知られていないことを挙げます。Webマーケティングという言葉自体は浸透しているのに、なぜなのでしょうか。
「それは、『分業化』が進んでいることが影響しているためです」(谷脇さん)。
日本では、Webマーケティングをはじめとした企業施策を行う際、“制作の”会社や“集客支援の”会社など専門性がある企業や個人とパートナーを組み、進めます。パートナー企業は当然、自分たちの“専門業務における”目的を果たそうと努めます。
「例えばセミナーを開く場合、制作会社はセミナーが開催されることがわかりやすい、あるいは申し込みがしやすいWebサイトになっているかを目指して業務を遂行します。集客支援の会社であれば、人を集めることに全力を尽くします。このような分業化が進んだ状況下では、自分たちの目の前にある『人を集めること』が目的化してしまい、セミナーを開いた先にある本来の目的を見失いがちです」
そのような状況を防ぐために、同社がクライアントに提案しているのは、Webマーケティングの最終的なゴールを明確に設定すること。そして個々ではなく、全体のゴール(目的)に向かって全員で動くことを目指します。
「最終的なゴールとは、売上につながるような目的のことです。これをどういう生産性の高い活動で実現していくのかを、それぞれのポジションのメンバーに共有することが大切です」
全員で、「最終的なゴールに到達しないと売上につながらない」という目的志向で動くことが、コンバージョンアップには不可欠だということです。
目指すべきは「信用」に重きを置いたWebマーケティング
「売上につながる目標設定が大事」と言うと、数字を追いかける営業的な活動を想像してしまいがちです。しかし、「マーケティングにおいて、営業に執着しすぎることは得策ではない」と言います。谷脇さんによると、マーケティングで重点を置くべきは、いかに顧客の「感度」を上げ続けるか。そして困ったことがあれば、「この会社に、この担当者に自社のことを任せたい」と思ってもらえる、ファンをつくることがマーケティングの真髄です。
「お客様は自分たちが抱える悩みを解消してもらいたいという動機で、例えば講演会やウェビナーなどに参加してくれます。その時に、自社やサービスのPRを中心に長時間話をしても、お客様は具体的に自分たちの悩みがどう解消するか想像できず満足に至りません。大切なのは、自分たちがこの会社に相談したら、どのような結果が生まれるかという連想を、いかにわかりやすくかき立てるかということです。その連想に対する期待こそが、顧客の感度なのです」
顧客感度をくすぐるために同社では、個別面談等の場でも直接的な営業はしないと言います。考え得る改善案を惜しみもせずに提示し、金額感や納期もすべて伝え、「この会社と出会えて、知ることができて良かった」と思ってもらえる接点をつくることに注力しています。そうしてファンになってもらうことができたら、クロージングのフェーズに影響します。
「お客様の利益を第一に考えた接点を最初につくり、感度を上げて信用さえ勝ち取っていたら、お金は後からついてきます。いろいろな事情でその時にはクロージングに至らなくても、半年後、何年後に思い出して戻ってきてくれます。また、一度納品が終わった企業から、追加で相談をいただくこともあります」
感度を上げて信用を勝ち取ってこそ、本来マーケティングがなすべき、「儲け続けるための仕組みづくり」が実現できます。