2020.05.11
低予算で大きな効果を生む、リサーチ&リアクション ビジネスのヒントはユーザーが知っている
BtoC、BtoBを問わず、商品やサービスの改善はビジネスの基本。その裏付けとなる「ユーザーの声」に耳を傾ける最良の方法のひとつが、アンケート調査などのリサーチです。効率的な実施と活用のヒントを探ります。
黒澤弘
ペットゴー株式会社 代表取締役社長 https://www.petgo.jp/
落合真衣
ペットゴー株式会社 ビジネス推進部
アンケートの目的は「仮説検証」「お客様への啓発」「広告」
愛犬・愛猫用の食事療法食やサプリメント、動物用医薬品などを扱い、自社サイト、Amazon、Yahoo!ショッピング、楽天市場などさまざまなプラットフォームでECビジネスを展開するペットゴー(petgo)。
2005年にECサイトをオープンした同社がメールを通じたアンケート調査をはじめたのは、2011年。以来、オンラインアンケートツールの「SurveyMonkey」を使い、1,000回以上ものアンケートを実施しています。現在は犬猫それぞれのユーザー別や、幼犬・成犬・老犬といったペットのライフステージ別、過去に購入した商品、商品到着後アンケートなど、さまざまなタイミング、セグメントに分けて、月に2~6回配信し、1,000人以上から回答が得られることも少なくありません。代表取締役社長の黒澤弘さんは、アンケートの目的は大きく「仮説検証」「お客様への啓発」「広告」の大きく3種類に分けられると言います。
「1つは、ある商品やサービスにニーズがあるのではないかという『仮説』を立てて、実際に開発やサービスを始める前に、そのニーズを『検証』するため。2つ目の『お客様への啓発』とは、例えば、毎年春先に実施している『ノミ・マダニ対策』に関するアンケートなど、お客様の実態を把握できると同時に、お客様にそういう時期が来たとお知らせして、商品の販促にもつなげる目的。3つ目の『広告』とは、『ペットゴー』の認知度調査などを外部に依頼してオープンなリサーチを行うことで、広くブランドやサービスを知っていただきたいという目的があります」(黒澤さん)
主なアンケート方法は自社サイトや各ECプラットフォームを通じたメールで実施するほか、「広告」の目的も担ったオープンな調査は外部に依頼。グループインタビューやDMによるサンプル送付なども行っていますが、ビジネスとの相性の良さから、メールマガジンを通じたアンケートが調査の中心になっています。
アンケートそのものをビジネスに活用
当初は自社のために始めたアンケート。しかし39万人もの会員を擁するECサイトに成長した今は、アンケートそのものもビジネスに成長しています。
同社ではペットの飼い主の情報やペットに関する多様なデータを「ペットデータ」として活用し、ペットフードメーカーやペット関連団体からのリクエストに応じたアンケートも実施。それらをフィードバックすると同時に、改善策なども提案することで、アンケートそのものがビジネスに大きく貢献しています。
「エンドユーザーである犬や猫の“声”を直接聞けるわけではないため、ペット業界はメーカーとユーザーとの距離が、ほかのBtoCビジネスと比較して遠いように感じます。だからこそ、私たちのようなEC(小売)がお客様の声を聞き、それをビジネスにも活かしやすい側面もあると思います」(黒澤さん)
ペットゴーでは、実際にどのようなフローで調査を行い、活用しているのでしょうか。アンケート作成のコツと回答の活用方法を次ページで具体的に見ていきましょう。