2020.01.16
プロジェクトマネジメントを教えるには? 現場の視点:PM力の育成
さまざまなスキルで成り立つPM力が求められていることは、現場と市場の視点で明らかになりました。ここでは、人材を育てる立場として、どうPM力と向き合うべきなのかデジタルハリウッドにうかがいます。
「超実践」と「モチベーション維持」がプロジェクトマネジメント教育の鍵
デジタルハリウッドでは、実務さながらのスキル習得を目指し、Webデザイナー専攻に「超実践型就職・転職プラン」というコースを設けています。本コースは、カリキュラムに「お仕事TRYプログラム」と題したクライアントワークを入れており、受講生は実際の企業のWebサイト制作案件を経験することになります。
プログラムでは、クライアントへのヒアリングから制作物の最終プレゼンまでを約2カ月で実施します。受講生は講師のサポートを受けながら制作に取り組みますが、この期間で大きく成長する力のひとつが、スケジュール管理です。中間チェックや個別レビューの機会も設けながら、スケジュール遵守を意識してもらうようにしています。
本プログラムの後には卒業制作が待っていますが、受講生はクライアントワークの経験を活かし、スケジュールに対する危機感を高く持って臨んでいます。この感覚は、他コースの受講生を大きく上回っている印象です。
ビジネス現場のプロジェクトでもそうですが、プログラムをやり遂げるうえでは、責任感が最も重要です。受講生の中には、途中で心が折れそうになる人もいますので、講師の立場としては、やり遂げるためのモチベーションを支えることが求められます。こうした取り組みで責任感を保てれば、タスクやスケジュールの管理も自ずとやってくれるはずです。
モチベーションを支える際は、コミュニケーションを通じ、「入学当初の目標」や「得意なこと」など、受講生が自分自身に気づくきっかけを与えることを考えています。また、時には学業に関係のない悩み相談や雑談もして、目線を揃えて接することも大切です。基本的には個人ワークとなる受講生同士の会話が生まれるよう、同じ曜日に来ているような生徒を紹介してつなげることもあります。目標を共にする仲間・ライバルができることは、モチベーションの維持に大きく関わります。そのほか、制作物の評価を数値化してフィードバックするなど、モチベーションの向上・維持により、クライアントワークや卒業制作などを責任感持って完走してもらうようにしています。